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オープンデータ活用のためのクエリ言語SPARQLが、いま注目される理由 #sparql #opendata #codeforjapan

2014.01.10 Category:技術コラム Tag: , , ,

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オープンデータ活用が進むにつれて、注目されるのがRDFと呼ばれるデータ・フレームワークと、そのデータにアクセスするための言語SPARQL。

それが注目される背景について、福井県鯖江市でオープンデータ活用に取り組んできた、jig.jp福野泰介氏に聞いた。
by 馬場美由紀 (CodeIQ中の人)

オープンデータ活用でエンジニアに求められる役割

「日本のオープンデータを盛り上げるために、一番重要なのはエンジニアの力です」と力説するのは、jig.jp代表取締役社長の福野泰介氏。オープンデータとは、行政機関が保有する地理空間情報、防災情報、統計情報などの公共データを、利用しやすい形で公開することである。

オープンガバメントの動きとあいまって、世界各国の政府や自治体がデータを公開し始めており、日本でも政府のIT総合戦略本部が2015年度中に世界最高水準の公開内容(データセット1万以上)を実現する施策を進めている。

そこで期待されるエンジニアの役割とは何か。
「オープンデータはまずは国や地方公共団体が開発者向けにデータ利用のためのAPIを公開し、それを開発者がアプリやサービスに仕立てて、結果的に市民向けサービスを向上させようというもの。

せっかくのAPIも、開発者が興味を持たなければ意味がないし、生み出したサービスも使われなければ意味がない。利用者ニーズに刺さる使いやすいアプリを書き、役に立つサービスを実現するのは、まさにエンジニアの仕事なんです」

2011年以降、日本でもエンジニアの間でオープンデータへの関心が高まってきた。福野氏が注目する最近の動きは一般社団法人「Code for Japan」の設立だ。

「3.11」震災後のデータ活用に取り組んだ「Hack for Japan」が前身で、その活動にボランタリーにかかわったエンジニアらを中心に2013年11月に誕生した。市民がアプリケーションを作り行政サービスを改善することを目指している。

W3Cで感じた危機感が、鯖江市のオープンデータ化を後押し

福野氏の地元、鯖江市は「データシティ鯖江」を掲げるなど、オープンデータの先駆的自治体として知られる。福野氏はその仕掛け人の一人だ。2010年秋のW3C世界会議のオープンガバメント分科会に参加した福野氏は、Webの生みの親、ティム・バーナーズ=リー氏を含め、欧米の研究者たちが、オープンデータに強い関心を持っていることを知った。

「電気・ガス・水道などの公共インフラが整備されていないと産業が成立しないのと同じで、誰もが使えるデータがないと、Webイノベーションは生まれない。このままでは欧米に先行されてしまう」と、危機感を覚えたという。

まずは地方から変えていこうと、鯖江市に働きかけ、2012年初めには市が管理する公衆トイレをXML形式で公開することに成功した。これが日本の行政機関では初めてのオープンデータだ。

そのデータを利用するスマートフォン・アプリはセマンティック・ウェブを推進する研究者たちが始めた「Linked Open Data チャレンジ Japan」のコンテストで「公共LOD賞」を受賞。その後も福野氏は「一日一創」を目標に、鯖江市のオープンデータを利用したアプリを作り続けた。

バス活用への探求、鯖江つつじバスの時刻表アプリ

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RDF用クエリー言語SPARQL──習得は決して難しくない

その一方、2012年7月に産官民連携の「オープンデータ流通推進コンソーシアム」(福野氏は利活用・普及委員会の委員の一人)が設立され、それと連動する形で総務省や経産省もオープンデータへの取り組みを強めるようになった。

同コンソーシアムでは、オープンデータを流通させるための標準技術仕様を検討しているが、そこで標準データモデルとして推奨されているのが、セマンティックWebを実現するための技術的な構成要素の一つであり、W3C規格でもあるRDF(Resource Description Framework)モデルだ。RDFでは,すべての情報を主語・述語・目的語からなる三つ組(トリプルストア)という単純なデータ構造により表現する。

このRDFデータセットに問合わせするクエリー言語としていま注目されているのが、SPARQL(スパークル)だ。これもまた2008年にW3Cで勧告された言語である。

「SPARQLはSQLに似ているので、SQLに触れたことのあるエンジニアなら習得は難しくありません。ただ、もともとRDFにはテーブルという概念がなく、主語・述語・目的語のカラムがひたすら並んでいるので、それをクエリーにするには独自の構文を書かなければならない。使い始めるのは簡単ですが、パフォーマンスを高めるのはこれからの技術的課題。そういう課題があるからこそ、これからさまざまな実装が試される。まさにいま一番ホットな言語と言えます」

2月に総務省などが「オープンデータ・アプリコンテスト」を開催

福野氏は、「SPARQLを理解するエンジニアは、クエリーを受け付ける場所=“SPARQLエンドポント”が公開されたら、そのデータを活用してさまざまなアプリを書くことができる。さらに複数のオープンデータをマッシュアップして、新しいサービスを立ち上げることもできる。これまではデータを利用するには、それぞれ独自のAPIを理解しなければならなかったけれど、RDFとSPARQLで統一されれば、APIを個々に定義する必要性もなくなる。マッシュアップという技法も、飛躍的に高度化していくはずです」と、期待している。

SPARQLはまさに、エンジニアにとって、いま覚えるべき“お得な”言語と言える。

その技量を試すためのコンテストも、2014年に入ると目白押しだ。例えば、総務省とオープンデータ流通推進コンソーシアムは2014年2月から、一般公募による「オープンデータ・アプリコンテスト」を共催する。2013年度に実施された7つの実証実験でオープンデータ化された公共データを活用した、アプリケーション開発を競うイベント。

オープンデータ・アプリコンテスト

こうしたコンテストで腕を磨くエンジニアが増えれば、日本のオープンデータ活用は欧米に負けないレベルに成長するだろう。2014年がオープンデータ本格活用の“元年”になることは間違いないだろう。

コンテストの最優秀賞には30万円分の商品券、優秀賞は20万円分の商品券、佳作には10万円分の商品券等と、とても豪華な特典が用意されている。CodeIQでは福野氏に「コンテスト参加へのヒントとなる問題」を出題してもらった。ぜひこの問題に挑戦してフィードバックをもらい、コンテストに参加していただければ幸いである。

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(執筆:広重隆樹/撮影:佐藤聡)

福野泰介氏
株式会社 jig.jp 代表取締役社長
1978年生まれ。国立福井工業高等専門学校を卒業後、フリープログラマーを経て21歳で起業。2003年に株式会社jig.jpを設立。2004年に世界初の携帯電話用Javaフルブラウザ「jigブラウザ」を発表。日本Androidの会、福井支部長。最近のお気に入り、オープンデータx電脳めがね。オープンデータ関連の動向について、ブログ「一日一創」でもまとめている

Twitter: @taisukef
ブログ: 毎日創ろう「一日一創」継続中!

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