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Googleトップページで学んだUI/UX経験をどう活かす?──freee関口聡介氏「仕事の流儀」

2014.09.25 Category:【連載】ギークたちの『仕事の流儀』 Tag: , , , , ,

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「全自動のクラウド会計ソフトfreee」。
サービスのUI/UXにもこだわるfreeeが初めてのUXディレクターとして迎えたのは関口聡介氏。

UX専門家として前職Google時代、Google日本語入力のUX開発やGoogle Japanのトップページのリデザインに関わってきた。彼は、Googleで学んだことを、freeeのUX開発にどう活かしていくのだろうか。
by 馬場美由紀 (CodeIQ中の人)

Googleの白いページに、どうやってUXを注ぎ込むか

前職のGoogleでは2007年から働き出しました。まだ渋谷にオフィスがあった時代で、社員も100~200名ほど。本当に一人ひとりの個性やスキルが立っていて、かつ結束力がある、今のfreeeのようなスタートアップ感を強く感じました。当時のGoogleはEarthやGmailなど世界に強烈なインパクトを与えたプロダクトをリリースしていたころで、Googleが世界を変えているという実感をしながら、日々仕事をしていましたね。

Googleで最初に関わったのは、日本のGoogleトップページの改修という、正直実感がわかない程重要なプロジェクトでした。あの真っ白なページを改修するというのは日本のチームが世界に先駆けて取り組んだものです。日本市場でユーザーをどう獲得していくかを模索している中の一環として取り組んだプロジェクトでした。

Googleは検索エンジンとしては注目されていましたが、GmailやGoogle Mapなど他のサービスについての認知度はまだ低かった。それをトップページのデザインを通して、どう広めていくかということが自分に与えられた課題。白いシンプルなGoogleトップページのイメージは残したまま、いかに他のサービスの認知度を高めるか。これはUX的にかなり難しい課題でした。

今では信じられないような話ですが、当時のGoogleのUX責任者的立場であったマリッサ・メイヤー女史(現Yahoo! CEO)とビデオ会議をしてプロトタイプのデザインを見せたこともありました。そこでマリッサにプロトタイプが気に入られGoがかかり、その後に上司と上げた祝杯の味は今でも忘れられません。

もちろん、Googleに入る前から、グラフィックデザインやWebデザイン、3DCG映像の制作などの仕事を通して、画面や情報をどう見せれば人によりよく伝わるかという試行錯誤は常に行ってきました。そこでの経験が現在のUX開発スキルの礎になったと思っています。

Googleでは外向けのWebサイトを管理するWebマスターチームで、UI、インフォメーション・アーキテクトやプロジェクト・マネジメントを長くやっていました。約7年間在籍したことになります。

日本の中小企業を支えて、世の中をもっと活性化させたい

freeeに転職したのは、2014年2月です。Googleも大きな組織になり、部署の再編成などがあって、だんだん自分のやりたいことと業務内容が離れてきている感じがありました。

freee創業者の佐々木大輔とはGoogle時代から知り合いで、freee創業から破竹の勢いで成長しているのをGoogle社内からみていて「なんか楽しそうなことをやっているな」と思っていたんです。そんな折に佐々木から声をかけてもらい、freee社内にUXの専門家がいないので知恵を貸してほしいと言われたのがきっかけで、私自身30代最後のチャレンジとして転職を決めました。

転職を決めた最も大きな理由としては、以前自分でも会社を経営していた時、会計処理には本当に莫大な時間と精神力を費やしていたので、freeeの「スモールビジネスに関わるみんなが創造的な活動にフォーカスできるように」というミッションは心に深く響きました。

日本のスモールビジネスを応援したいという、佐々木のビジョンにも共感するところが大きかった。大げさに言えば、自分たちのサービスを通して日本の中小企業のバックオフィス業務を効率化して、彼らの本業を活性化して日本の底力を上げたい、そういう思いが、サン・マイクロシステムズやGoogleなどの外資系を渡り歩いてきた私には強くありましたね。

「freee」のUXを洗練させていくことは、最終的には日本の産業を活性化させることにつながる、そういう信念が私にはあります。転職するちょうどそのタイミングで、「クラウド会計ソフトfreee」のモバイル版のローンチがありました。入社日がローンチ日でしたから、入社する前からボランティアで夜通しモバイル版のUIを作ってました。

UX作りは誰にでもできるようにするべき

現在は、UXディレクターとして「freee」のプロダクト全般に関わっています。UXチームはユーザーを集めてユーザビリティテストをしたり、税理士さんたちにヒアリングしたりもします。新しいサービス、他にはないプロダクトなので、私たちが生み出すUXがこれからのクラウド型の会計ソフトのスタンダードになるんだ、というような、強い思いが私たちには必要だと思っています。

たしかにユーザーは、Excelや既存の会計ソフトの操作に慣れている人が多い。けれども「それって本当に便利で、効率的なの?」という問いは常に投げかけていきたい。「freee」が生み出す新しいUXは、人によってはもしかしたら最初は取っつきにくいかもしれないけれど、使い慣れれば、もともと使っていたソフトよりは何十倍も仕事を効率化できます。そういうところをしっかりと示したいですね。

UXに関わる案件は、今は全部我々UXチームに持ち込まれます。だから、入社半年経ってもまだまだ忙しい。ただ、UXはUXの専門家にしかできない、という風には考えていなくて、基本的なUX作りは誰にでもできるようにするべきというのが私の持論です。

もちろん、デザインの知識がないと完成させられないところもありますが、ことUXの根本の部分に関してはむしろ開発に携わったエンジニアだからこそ、いいもの作れるということもあると思います。今後は私が全部やるのではなく、UX的な課題を社内に振り分けることが必要だと思います。

これからはUX開発の課題を社内でブラックボックス化せず、オープン化して知見を全員で共有するという方向に進めるべく、エンジニア向けにUXガイドラインの作成にも取り組んでいます。

価値基準を明確に、タフな仕事をとことん楽しむ

Googleでは当初、組織化しなくてもうまくいっていたチームが、猛スピードで大企業へ成長していく様を肌身で感じました。これは得がたい体験でしたね。Googleがすごいのは、企業規模が大きくなっても一貫したフィロソフィーというか、価値基準みたいなものを貫いているところです。それは、僕が辞める間際まで変わりませんでした。

組織としてはジョンソン・エンド・ジョンソンとか、ザ・リッツ・カールトンなど他の業界にもある「クレド」みたいなものは非常に重要だと思っていて、社員のすべてがそれに則って行動すべき基準は明確に持っているべきだと思っています。

これはもちろんfreeeでも重要だと思っていて、みんなで話し合いを行い「freeeの価値基準」として形にしています。価値基準を浸透させるために、最も価値基準にふさわしい行動をした社員を表彰するとか、そういうこともやっています。Googleのいいところをfreeeに移植するという点では、文化面でも自分が役に立てる部分は多いと思います。

みんなに勧めるわけではないですが、私は徹夜仕事も楽しんでやってます。もうすぐ40歳になりますが、結構タフなのかな、日頃自転車で鍛えているからか、割と平気な方です。

その代わり、家に帰ったらほぼ仕事はしないし、週末はとにかく遊びに集中します。クルマと自転車が趣味。自転車については社内に自転車部を立ち上げました。みんなをロードバイクに夢中にさせ、社内を自転車だらけにしてしまったのはこの私です。今度北海道で開かれるブルベ(長距離ロングライドイベント)にfreee自転車部のメンバーと連れだって参加しようと思っているんですよ。

関口聡介氏<プロフィール>
関口 聡介氏
freee株式会社 UXディレクター

1974年生まれ。グラフィック/Webデザイナーを経て、テレビ局向け3DCG映像制作会社を10年に渡り経営。
その後、サン・マイクロシステムズ日本法人でWebマーケティングに関わる。2007年Googleへ。7年間に渡りWebディレクション業務に関わる。2014年2月、freeeに転職。

(執筆:広重隆樹/撮影:佐藤聡)

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