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Amazon Redshiftでデータ分析し、プロダクト改善─freee坂本登史文の「仕事の流儀」#aws

2014.09.29 Category:【連載】ギークたちの『仕事の流儀』 Tag: , , ,

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クラウド型の会計ソフトを提供するfreeeは、プロダクトの絶えざる改善のためにデータ分析に力を入れている。
DeNAでソーシャルゲーム分析を担当していたデータマイニングエンジニアの坂本登史文氏は、ユーザーログを分析して1週間ごとに機能やUI/UXを見直すという。
freeeで行っているデータマイニングによるプロダクト改善とはどのようなものか、話を聞いた。
by 馬場美由紀 (CodeIQ中の人)

データ分析の定番が確立していない新しいフィールドで仕事をしたい

最初の会社は大手メーカー系のSIerでした。そこで会計システムなどを開発していました。あるとき、Webメディアの記事でデータサイエンティストの仕事ぶりを読んだんです。

数理を元にしたデータ分析で、サービスの利益を最大化させているという話に驚きました。まだビッグデータという言葉がバズワードになる前のことでしたけど、ものすごく興味がわきました。そこで、2012年にDeNAに転職します。

DeNAでは希望通り、ソーシャルゲームの分析を担当することになりました。どういうタイミングでユーザーはゲームから離脱するのか、また反対に、復帰したユーザーを定着させるにはどうすべきかなど、データを通してさまざまな知見を得ることができました。

仕事を進めていくにつれて、ソーシャルゲーム市場も成熟していき、データ分析系でもだいたいどういうKPIを見るのか、その定番が固定化されつつありました。それをより洗練させていくもの楽しいのですが、もっと新しい分野でチャレンジしたいなぁと。それに、できれば熱気に満ちたスタートアップの会社で仕事をしてみたいと思うようになりました。自分の力でゼロからその会社のデータ分析のノウハウを確立してみたい、そう思ったんです。

「より満足していただくにはどうするか」という問いが、課題解決の出発点

freee代表の佐々木と話して、すぐに入社を決めました。2014年3月のこと。確定申告が一段落し、よりいっそうの成長に向けて動き出した時期でしたが、プロダクトの改修や機能拡充のためには、データをより活用していかなければいけないと、社内でデータ分析のニーズが高まっていたようです。

入社後は唯一のデータマイニングエンジニアとして、プロダクトを成長させるための「グロースチーム」のリーダーを務めています。

例えば最初に「クラウド会計ソフトfreee」を使うユーザーは、まずチュートリアル画面で操作に慣れていただくのですが、この画面の行動履歴を分析することでいろいろなことがわかります。どこで迷い、手が止まるのか、どこで離脱してしまうのか。そのデータを分析することで、チュートリアルを改善することができます。

単にデータを提示して終わりではなく、チームのメンバーと一緒にデータをみながら、その場であれこれ議論してプロダクトを直します。場合によってはA/Bテストを実施することもあります。

もちろんデータ分析を事業に活かすことも重要な課題です。当社の事業としては、最初は無料プランで多くの人に使っていただき、これは手放せないなと満足してもらえたら、ぜひとも有料プランに移行して使い倒していただきたい。この、満足していただけるタイミングがいったいどのようなポイントなのか、それを解き明かすのが大きなミッションでした。

入社して当初は、データ分析基盤の構築などにどうしても時間を割いてしまいましたが、最近のデータ分析によって、満足していただいているユーザーには特徴的な行動があるということがわかってきました。

では次に考えるのが、どうやったらその行動をより多くのユーザーにとってもらえるかということ。言いかえれば、その行動をするために障壁になっているものは何かということ。その障壁は、導線が少ないなどの物理的なものかもしれませんし、何となくしたくない、などの心理的なものかもしれません。

そこからいくつかの仮説を立て、それを検証し、機能を実装して、その効果を見る。こうしたPDCAサイクルを何度も回すことで、ようやくKPIの指標も改善します。仮説検証を繰り返さないと、データという宝の山を活用することはできません。

仮説検証、効果測定、アプリ改修のサイクルは1週間単位で回しますね。朝のデータを使ってその日の夜にはアップデートというソーシャルゲームほどのスピードは必要ないけれど、それでも一定のスピード感は欠かせません。

Amazon Redshiftを活用して、データ分析を効率化

ユーザーが数十万人にも及ぶソーシャルゲームの場合、サービスのレスポンスを損なわないために、すべてのアクションでログを取ることが難しいこともありました。そのため、どのようなログをとるかという、「ログ設計」をする必要がありました。マイページを踏んだとか、バトルに参加したとか、ログをとるタイミングを明示的にエンジニアに指定するのです。

ところがfreeeでは、全てのユーザー行動タイミングでログをとることができます。ソーシャルゲームと比較してアクセス頻度が低いプロダクトであることが大きな理由ですが、Amazon AWSを初めとした多くのクラウド技術に支えられている面も大きいです。freeeでは、よりスピーディな開発を行うため、多くのクラウドサービスを利用しています。

たとえば、前職では自社内のHadoopを使うことが多かったのですが、今はfreee自体がAmazonのAWSサービス上にあることもあって、それと相性のよい Amazon Redshiftをデータウェアハウスとして利用しています。

大量の非構造データを扱うのであれば、自社内でHadoopを構築するメリットも確かに大きいです。しかしながら、行動ログのようにある程度構造化されているログを扱うのであれば、Redshiftのような列指向のデータベースを利用するほうがメンテナンスも分析スピードも効率化されると感じています。

とはいえ、freeeにおけるデータ分析体制はまだ始まったばかり。これからは僕がリーダーシップを発揮して、この分野の技術を高め、それをプロダクトに随時反映させていきたいと思っています。

<プロフィール>
坂本 登史文氏
freee株式会社データマイニングエンジニア

1985年生まれ。京都大学理学部研究科で地震学を専攻。地震発生時に起こる破壊のメカニズムをコンピュータでシミュレーションしていた。メーカー系SIerを経て、DeNAではソーシャルゲームのデータ分析を担当。2014年3月、freeeに転職。
社内部活動では「ミニ四駆部」で活躍。

(執筆:広重隆樹/撮影:佐藤聡)

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