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IT業界初の仰天人事!?ライフイズテック、ユーザベースの竹内秀行氏を「留学CTO」で迎える──

2015.11.05 Category:インタビュー Tag: , , ,

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アジア最大級の企業・業界情報プラットフォーム「SPEEDA」や、ソーシャル経済ニュース「NewsPicks」の開発で知られるユーザベースのCTO竹内秀行氏が、社に籍をおいたまま、今度はライフイズテックに「留学CTO」として迎えられた。

前代未聞の人材異動には、どういう狙いがあるのか。留学する竹内氏と迎える橋本氏、2人のCTOを直撃した。
by 馬場美由紀 (CodeIQ中の人)

ライフイズテックのCTOが二人になる!?

中・高校生のためのIT教育プログラム「Life is Tech!」を運営するベンチャー、ライフイズテックに大物の幹部社員がやってきた。肩書きは「留学CTO」。

11月に「留学CTO」に就任したのは、「SPEEDA」や「NewsPicks」の開発・運用で知られるユーザベースのイノベーション担当執行役員、チーフテクノロジストの竹内秀行氏だ。

TechCrunchの2014年のイベントで「CTO・オブ・ザ・イヤー」に輝いたこともある、CTO中のCTO。Excelなど数値データの可視化に貢献するオープンソースプロジェクト「E2D3」のコントリビュータとしても知られるWeb業界の逸材である。

▲株式会社ユーザベース イノベーション担当執行役員 チーフテクノロジスト 竹内 秀行氏

竹内氏は、ユーザベースのCTOを辞めてライフイズテックに参加したわけではなく、同社での役職はそのままに、時間の一部を割いて、ライフイズテックで技術経営や技術者のマネジメントに当たるというのだ。

一般企業同士や、民間企業と官公庁の間で社員・職員が出向する例や、2015年春に話題になった、ドリコムとピクシブの間でのエンジニア交換留学のように、近年、企業の壁を越えた人材流動化は活発になっている。

とはいえ、資本や業務提携関係のない2つのIT企業間で、社外取締役というのでもなく、CTOがオーバラップしながら実務を掛け持つという例は聞いたことがない。

しかも、ライフイズテックといえば、昨年(2014年)12月に、元スクウェア・エニックスのR&D部門責任者、橋本善久氏をCTOに迎えたばかりで、橋本氏はいまだその任にある。CTOが2人になるというのか?

「橋本さんは正真正銘のCTO。私はその附属みたいなものです」と、竹内氏は言うのだが……。

「CTOのメンター」を求めた竹内氏

話のきっかけは今年の9月。「竹内さんが並みのエンジニアではないことは、外から見ていてもわかる。Webサービスを理解し、かつそれをものすごい馬力で実現する人」と竹内氏に一目を置いていた橋本氏と、「私自身、ユーザベースが好きで、その創業に関わり、そのままCTO職に就いたものの、会社が急成長してくると、CTOは何をすべきか迷うこともよくありました。CTOのメンターとして橋本さんの話を聞きたいと思っていた」竹内氏が、とある飲み屋で6時間も語り合った。

そこで「いっそのこと、うちに留学してくる?」「話だけじゃわからないところもあるから、ぜひ現場を見たい。留学します」と話はとんとん拍子でまとまった。わずか2営業日後には双方の会社の取締役が承諾。異例の「留学CTO」が誕生することになったのだ。

CTOが2つの会社での業務を兼務することを許可したユーザベースも、度胸が据わった会社ではある。

「仕事をちゃんとこなしている限り、どんな働き方も許される自由な雰囲気が取り柄。社員が1か月間休みをとって好きなことに取り組む「自由研究」という制度もあります。そのような中で、これからは社員が他の会社で学ぶ機会も増えると社内でもよく話していたんで、まずは自分が見本を示そうと。もともと私の家系が大学などの教員一家で、教育事業にも興味がありましたし。ライフイズテックでこれから私が学ぶことは、自分自身の成長にもなりますし、ユーザベースにとっても財産になると思うんです」と竹内氏は言う。

高度な技術力を武器に、オンライン事業を推進

社員たちと顔合わせも済ませ、11月にはいよいよ留学CTOがやってくる。同社は特に役員室めいたものはない。フラットな職場ではあるが、やはりしばらくは橋本氏の隣に竹内氏が座ることになるだろう。

「留学しておいでよとは言ったものの、竹内さんのような人に仕事ぶりをそばで見られると、むしろ僕のほうがプレッシャーを感じますね。竹内さんの期待に応えられるようにがんばります」と橋本氏は気合いを見せる。

▲ライフイズテック株式会社 取締役 CTO 橋本善久氏

むろん、竹内氏を迎えたのには実利的な理由もある。これまで教室やキャンプなど、リアルな場でのプログラミング教育を基盤に成長してきたライフイズテックだが、これからはオンライン教育にも注力していく。

「いま、オンライン学習システムを整備中なんですが、Webサービス運用やアプリやインフラ開発で培った竹内さんの知見はぜひとも欲しいところ。技術の選択やサービスの改善でもリードしてほしい。もちろん、コーディングやコードレビュー、エンジニアの配置や採用まで、どんどん口を出していただきたい」と期待が高まる。

竹内氏の留学は、プログラミング教育のライフイズテックが、単なる教育サービスだけでなく、確かな技術に裏付けられたテクノロジーカンパニーであることを、世間に示すきっかけにもなるのだ。

コミュニティとストーリー重視の遊べる教材

ライフイズテックが中高生のためのプログラミングキャンプを行うのは、教える側と教えられる側の役割を明確化・固定化した一方的な教育ではなく、学習者同士が学び合うというスタイルを目指している。

「学習コミュニティの形成はオンライン教育でも重要。オンラインでは参加者同士がネットワークを通じてインタラクティブに学び合う形態や、一人ひとりに最適化された学習内容を提供することも可能になる。プログラミングでは初心者と習熟者の差は歴然だが、年齢差は重要ではない。中学生が高校生の質問に答えるというところまで行けると理想。そのためにも、SPPEDAの高速データベースアクセス技術や、NewsPicksのコミュニティ機能は参考になる」と、橋本氏は言う。

さらに、そのオンライン学習システムには、橋本氏のスクエニ時代のゲーム開発の経験も活かされるはずだ。

「各コースごとにキャラクターを設定して、それが学習者の案内役になるようなスタイル。ふんだんに謎解きを仕掛けたストーリー性のある教材で、一人で学ぶ学習者を飽きさせないものにしたい」と橋本氏は、キャラクターのプロトタイプをデモしながらそう語ってくれた。12月に実施されるクリスマスキャンプでそのパイロット版が披露される予定だ。

竹内氏の「留学」にはいまのところ期限が設けられていない。CTOが留学する2つの会社の関係が今後どうなるかも、未知数だ。今度はライフイズテックの社員がユーザベースへ出向く交換留学もあるのか、将来は両社の業務提携もありうるのか、まだはっきりしない。

「ただ、エンジニアの会社の枠を越えた働き方という意味では業界になんらかの刺激を与えるんじゃないか。エンジニアには、こんな仕事のスタイルもあるんだよということを見せることができればいい」と二人は口を揃える。

11月29日には、橋本氏と竹内氏の対談を軸にしたセミナーが開催される予定もある。本家CTOと留学CTOのタッグが、ライフイズテックを、いやWeb業界全体をどう変えるのか。注目していきたい。

■若手・学生エンジニアのための橋本善久×竹内秀行 ダブルCTOセミナー

  • イベント名:ー今必要とされるエンジニアの「思考」と「サービス開発」ー
  • 日程:2015年11月29日(日)14:30〜17:00@渋谷dots.
  • 参加費:無料 ※終了後、懇親会あり。
  • 詳細はこちらから

(執筆:広重隆樹 撮影:刑部友康)
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