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ちょまどさんがMicrosoftエバンジェリストに!C#腐女子のプログラミングライフとは──

2016.03.30 Category:インタビュー Tag: , , , ,

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「はしれ!コード学園」でおなじみの「ちょまど」さん。
自他共に“腐女子”と認めるマンガ家であると同時に、文系出身のプログラマでもある。その彼女がなんとこの春、マイクロソフトのテクニカル・エバンジェリストに就任。その背景を直撃取材した。
by 馬場美由紀 (CodeIQ中の人)

自分のマンガを読んでほしくて、マークアップ言語を覚える

CodeIQ MAGAZINEの人気連載「はしれ!コード学園」。セオショージ氏がシナリオを書き、それを巧みにマンガ化しているのが、ちょまどさんだ。

いわゆる腐女子系のマンガや小説を描いて周囲に見せるようになったのは高校生の頃から。それをWeb上に公開するようになったのは、大学入学のお祝いに両親からPCとペンタブを買ってもらった、大学1年の夏休みからだという。

「自分で独自のWebサイトを作って見てもらおうと思いました。そのためにHTMLやCSSを必死で勉強し始めたんです。その延長でJavaScriptにも興味を持つようになりました」

日本マイクロソフト テクニカル・エバンジェリスト 千代田まどか(ちょまど)さん
文系出身エンジニア兼マンガ家。2016年3月よりマイクロソフトのC#とXamarinのエバンジェリストになった。腐女子。Twitter:chomado/ホームページ:ちょまど帳

大学は女子大の文系で、津田塾大の英文学科。当時はマークアップ言語を書けるというだけで、クラスメートたちから「なんかすごいね」と言われる ことが多かった。

ただ、まだその頃は、HTMLやCSSは自分の作品をネットに公開するためのツールにすぎなかった。

次第に友人たちのサイト制作を手伝うようになり、4年生の秋には大学の文化祭の公式サイト作成を任されることになる。

「文化祭までのカウントダウン表示をつけてほしいと言われて、JavaScriptで実装しました。これが結構ウケがよかった。その快感体験がプログラマを目指す転機になりました」

勉強はネットにあふれる技術情報を理解するところから。

「どれもこれも、最初は、何が書いてあるのかサッパリわからない。そしてその先には途方もなく広い、全くの未知の世界がある。その不思議な魅力にどんどん引き込まれました。右も左も分からない当時の私には、体系立った教材が必要で、その教材として、基本情報技術者試験を選びました。書店で教科書が買えるので。
そして本当にたくさん勉強して、合格しました。理系の情報系の人たちにちょっとだけ追いつけたみたいで、とても嬉しかったです。その次は、応用情報技術者試験も合格することができました」

テスターを辞めて、C#とXamarinの新天地へ

「文系も大歓迎」のキャッチコピーに魅かれ、SIerに新卒で入社。新卒向けのプログラミング研修にはワクワクしたが、配属先はテスト部隊。

毎日、ひたすらエラー表示をスクリーンショットにとってExcelにペタペタ貼り付ける業務が続いた。いわゆる『エビデンス作り』である。

「SIerにおいて、この『エビデンス』の納品が重要なのはわかっています。ただ、ツールを導入して自動化できないものかと上司に言うと、そのツールの有効性をエビデンスとして見せなさい、と言われます。
エビデンスを取るためのツールの必要性を具申しても、じゃ、そのエビデンス取得ツール導入のエビデンスが欲しい……と再帰的に繰り返される。結果的に手動が一番信頼できる、とのことで」

「私は、他の人のように黙々とテスト業務を遂行できない自分はダメ人間なんじゃないかと思うと苦しくて。また、同じ現場の人たちへの罪悪感、さらには効率化したくてもできないイライラで、一時は適応障害と診断されるまでストレスが溜まっていました。私は、プログラミングがしたい。開発がしたい。その自分のやりたいことと、今の業務のギャップがあまりに大きく、辛かったので、新卒入社したばかりだったのですが、転職することにしました」

というわけで、SIer新卒入社後3ヶ月で、iOS/Android アプリの開発業務を行う小さなISV企業に転職していた。

ここで出会ったのが、C#とVisual StudioとXamarin だ。サーバサイドはMicrosoft Azureを使っていた。

「VSすごい!C#すごい!Azure便利!コード書くの楽しい!!
ここが私の居場所だって感じがしたんです。優しく教えてもらえる先輩たちにも恵まれました。たたき台的なコードを残したままGoogleに転職した先輩社員に、『後は頼む』といわれて、ほとんど一人でスマホアプリを仕上げました。これでなんとか社会人としてやっていく自信がついた。そのまま今月(2016年3月)まで、ガリガリコードを書いていましたね」

C#はちょまどさんのコアスキルの一つだ。C#が大好きな理由をこう語る。

「まず、LINQを用いることで、様々なタイプのデータソースに対する検索や操作を、共通の構文で行えるところですね。それからasync/awaitで非同期処理が超簡単に書けるのもいい。
そして、私にとって最強のIDE、Visual Studioが使えるところ。Visual Studioは初心者の学習ツールとしてだけでなく、プロの仕事の補助ツールとしてもスグレモノ。慣れた人が使うとすごいスピードでコードが書けます」

社会人2年目になった頃、出版社から初心者向けプログラミング記事の連載の話が舞い込んだ。編集者と打合わせをするうちに「もしかしてマンガも書けるの?」という話になり、マンガ連載が決まった。『シェルスクリプトマガジン』(USP研究所)連載の「シェル女子」は原稿料を初めてもらった記念すべき作品となった。

その存在を知ったCodeIQ MAGAZINE編集部が依頼したのが、冒頭の「コード学園」だ。こうしてマンガもコードもバリバリ書きまくっていた社会人2年目のちょまどさんに、転機が訪れたのは2015年暮れのことだった。

「はしれ!コード学園」に大好きなC#擬人化キャラも登場

ちょまどさんの最新作は、大好きなC#の擬人化キャラ。
自然と思い入れも強くなったという。
C#が織りなすバーチャル・リアルティの世界へ、ようこそ!
──はしれ!コード学園【第8回】より

マイクロソフトを名乗る人からSPAMメール?

昨年12月に開催された、CodeIQ主催のイベント「CodeIQ忘年会」。ちょまどさんは「コード学園」を紹介するLTを編集部から頼まれ、登壇した。根っからのあがり症。300人もの聴衆の前で話すのは初めてだった。

▲CodeIQ感謝祭でLTにチャレンジするちょまどさん

「その中に、日本マイクロソフトのエバンジェリストの物江修さんがいたんです。『マンガは副業で、本業はプログラマです。C#とVisual Studio使って開発してます。サーバはAzureです』という自己紹介にビビッと来たらしく、会場で話しかけられました。

『C#使ってるってホント?Xamarinも?』。次の日には物江さんの上司の砂金信一郎さんから、テクニカル・エバンジェリストとしての入社を前提に、一度お話ができないかというお誘いのメールが来ました。最初は何かのSPAMメールかと思ったぐらい、びっくりしましたよ」

確かに社会人3年目の文系プログラマにとって、普通はありえないオファーである。その背景を砂金氏はこう語る。

「これまでマイクロソフトのエバンジェリストといえば、その分野の第一人者としてすごい実績を持っていて、プレゼンでも普通の人とは違うオーラを放つ、40歳前後のベテランエンジニアというイメージが強かったと思います。
ただ、それだけでは10代、20代の若いエンジニアに十分なリーチできない。みんなと同じ目線で一緒に必死で技術を追いかけているような若い人をエバンジェリストとして迎え入れ、当社の技術を広く浸透させていきたいと考えていました」

「ちょまどさんができるなら私にもできるんじゃないか」とか「ちょまどさんと一緒に頑張ろう」みたいな、まさに“手の届くエバンジェリスト”を業界にデビューさせたかったのだ。

サンプルアプリは「ギャルゲー」。ニュータイプのエバンジェリスト登場

ちょまどさんはプログラマとしての経歴的にも、マイクロソフトの技術とは親和性が高い。もし叶うならマイクロソフトで仕事をしてみたいと思った。

最近ハマっていたXamarinが、たまたまマイクロソフトに買収された時期と重なったのもベストタイミングだった。

とはいえ、テクニカル・エバンジェリストとしての採用にはきわめて高いハードルがある。面接は都合6回も行われた。

砂金氏は語る。

「僕はちょまどが最終面接まで行けるかどうか、実はちょっぴり不安ではありました。ただ、日本語を話さない外国人や役員との面接もそつなくこなして、全部クリア。苦手としていた対人スキルも、面接を経るうちにどんどん向上していくのがわかりました。
面接官全員が共通して驚いたのは、大学後半でプログラミングを始め、わずか数年でここまで来た彼女の成長力。今後、新しい技術が登場しても彼女ならすぐにそれを吸収して、人に語ることができるはず。その尋常じゃない伸びしろには、みんなが期待しています」

C#とXamarinをコアスキルにするテクニカル・エバンジェリストとして、3月末に晴れてマイクロソフトに入社したちょまどさん。

「マンガとか絵を描くということも期待されているので、業務としてもマンガを描いていくと思います。その一方で、開発者でもあり続けたい。開発者へアピールするには自分自身が技術をフォローしつづけるのは当然ですからね。ちゃんとモノを作って、そのモノを通じて、エバンジェリズムにしていきたいです」と抱負を語る。

で、サンプルアプリとしてまずは何を作るのかと聞くと、答えは「ギャルゲー(恋愛シミュレーションゲーム)」。今までのエバンジェリストにはなかった発想だ。

「コード学園のキャラたちとお話できるようなゲームを作りたいなあと考えています。一番の理由は、私自身がプレイしたいからです」

マイクロソフト発・初のギャルゲーがどんなものになるのか、興味津々だ。

もちろん、「はしれ!コード学園」の連載も続けていく。新しい言語を覚えては、それをキャラクター化する。

マンガとコードを両輪の武器としたニュータイプのエバンジェリストの成長に、みんなも大いに期待してほしい。

(執筆:広重隆樹 撮影:平山諭・刑部友康)

おまけ

「日本マイクロソフトの品川本社ビルの19階は、『MSカフェ』と呼ばれる、とても大きなカフェがあります。そこにソフトクリームが売っているのですが、そのソフトクリームの名前が『マイクロソフト』っていうんですよ。面白いですよね!」

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