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2016年はVR元年──これからはVR/AR/MRを活用したサービス・アプリ開発が主流になる!?

2016.07.22 Category:勉強会・イベント Tag: ,

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リクルートホールディングスが運営するITクリエイターのための会員制オープンイノベーションスペース「TECH LAB PAAK」で開催された、第4期PAAK Memberの成果発表会「OPEN PAAK DAY#4」。
その成果発表会に先立ち、「VRが創り出す未来~私たちの生活はどう変わるのか~」というトークセッションが行われた。
そのダイジェストで紹介する。
by 馬場美由紀 (CodeIQ中の人)

VRの普及で私たちの生活はどう変わるのか?

2016年はVR元年と言われているように、主要メーカーからヘッドマウントディスプレイが出そろい、また従来までのエンタメ分野だけではなく、産業への応用が期待されている。

VR技術は医療業界や建設・不動産業界、スポーツ業界などで採用され始めており、今後ますます私たちの生活に入ってくる兆候が見えているからだ。

今回のセッション「VRが創り出す未来~私たちの生活はどう変わるのか~」に登壇したのは、桜花一門の高橋建滋氏、パノラプロ代表取締役社長の広田稔氏、gumi代表取締役社長の國光宏尚氏の3人。モデレータはリクルートホールディングス「TECH LAB PAAK」事務局の宇都宮竜司氏が務めた。

高橋氏は3年前よりVRの企画やゲームソフトの自主製作などを手掛けている一方で、「Oculus Festival in Japan(パーソナルVRという新しいVR文化を創造・加速させるためのNPO法人)も運営している。

広田氏はVRやパノラマ系ニュースメディア「PANORA VIRTUAL REALITY JAPAN」を主催。

國光氏は「VRオジサン」と呼ばれるほどVRにハマっており、同社では15年11月にVR関連のスタートアップを支援する「Tokyo VR Startups」を設立している。

16年1月より日本初のVRに特化したインキュベーションプログラムを開始し、日本から世界を目指すプロダクトやサービスの創出に注力している。7月より同プログラムの2期生の募集が始まっている。

トークセッションは各質問に登壇者が回答するという形で進められた。

Q.今のVRの流行をどうみていますか?

この問いに対して、最初に回答したのは高橋氏。

株式会社 桜花一門 高橋建滋氏

「Oculusの開発キット『Development Kit(DK1)がリリースされた3年前とは比べものにならないぐらい活気づいている。VRバブルが起きているような感じ。ただ生活に役立つモノ、良いモノを作らないと一過性のブームで終わってしまう」と、今まさにブームの最中にあるモノの、今後への懸念を示した。

続いて広田氏は「2015年の後半からGoogleの検索トレンドを見ても、VRは非常に伸びており、ニュースも増えている。ただ、今の熱気はiPhoneが登場した初期の頃に似ており、小さなデベロッパーが多い」と回答。

株式会社パノラプロ 代表取締役社長 広田稔氏

この回答を受け、國光氏は「VR関連のソフトの売り上げも増えており、数千万~数億円規模のゲーム市場ができつつある」と続けた。

國光氏は、VRは2つの要素があるという。「一つは次世代のエンタテイメント機器としてのVR、もう一つがスマートフォンの次のインターネット端末としてのVR」だと指摘。

株式会社gumi 代表取締役社長 國光宏尚氏

前者の次世代のエンタテイメント機器のVRでは映像を含めた今まで見たこともないインタラクティブの形として提供されることが必要になる。

また後者のスマートフォンの次の端末としてのVRでは、「VRの次の時代を作るARやMRへとつなげていくことが重要になる」と語った。

Q.注目している技術やプロダクトはありますか?

高橋氏が注目しているのは、6月に特許を取得したばかりのOculus社のスマホ用のVRヘッドマウントディスプレイ向けのシステム。同システムはユーザーの姿勢や手のジェスチャーを認識し、より自然な移動を実現する。

この技術に注目した理由を高橋氏は「ヘッドマウントディスプレイはほぼ完成している。今後は手の入力をどうするかなど入力の方法に向かっていくと考えられる。すでに米国ではVR専用の入力機器の会社が起業している」と答えた。

続いて広田氏は「ヘッドマウントディスプレイもモバイルに向かうと思う。ボタンを押すとすぐにコンテンツが出てきて、体験できるような一体型になるのでは」と前置きした上で、以下のように回答した。

「注目している技術は位置トラッキング。モバイルだと、ゲームで遊んでいてもゲームに近づけないという状況がある。位置トラッキング技術がモバイルを進化させると思う」

國光氏は、マイクロソフトのホロレンズを例に出し、「このようなものがスマートフォンの次につながっていくと思う。つまりスマホの次のネットの世界は、直接自分の視力とインターネットがつながる世界だ」というのである。

ARで一番最先端を走っているといわれるマジックリープ社はVRやARを超えて、現実ではないものともやり取りすることができる技術「Mixed Reality(MR:複合現実)」を公開していることから、「2016年はVR元年と言われているが、すでにホロレンズの開発キットが出たことで、AR元年と言うべきなのでは」と指摘。

そしてさらに3年後にMR元年となり、「目とインターネットがつながる世界が実現する。将来的には目に見えているモノの何%かはバーチャルというような世界になるのでは」と回答した。

その上で今、チェックしておくべき技術としてはGoogleの「プロジェクト・タンゴ(Project Tango)」を挙げた。

Q. VR技術によって究極的に世の中はどうなる? 

例えば2050年とかになると、世の中はどうなるのか。

広田氏は「人間の欲望は変わらないと思うので、やっていることは変わらない。精度がどれだけ高いか、安価で買えるかどうかだという違い。人間の欲望に対して安く便利に届けられるかだと思う」と回答。

それに対して高橋氏は「人間がもう少し変わるのではないかと思っている」と期待を込める。なぜ、そう思えるのか。

高橋氏は中世ヨーロッパでは処刑を娯楽として楽しんでいたが、活版印刷の発明により本が一般に広がったことで、処刑される人にも感情があることを知り、優しくなったと述べた。

またSNSの発展により、盲目的な崇拝が薄れてきているという。つまり新しいメディアが生まれると、人間は賢くなり、優しくなってきた。だから「VRが普及することでもっと人は賢くなり、優しくなっていくはず」だと言う。

國光氏は「VRが進むと、少子化はびっくりするほど進むと思う」と冗談ながらも懸念を示した。

例えば、東京お台場に半年間の期間限定でオープンしているVRアクティビティ体験施設「VR ZONE Project i Can」ではさまざまなVRコンテンツが体験できるが、その一つに「アーガイルシフト」というコンテンツがある。

そのコンテツではセクシーなアンドロイドが登場するが、「好きになってもおかしくない」レベルだというのである。

対話エンジンなどと組み合わせると、より没入感が増し、「特に危ないのは女性。それにハマってしまうと、リアルに戻ってこられなくなる可能性がある」と指摘する。

そのうち「リアルとは?、バーチャルとは?、という哲学論争にまで発展する可能性がある」とも語る。

Q.すばり、私たちの生活はどう変わる?

近い未来において、VRで私たちの生活はどう変わるのかという問いに対しては、「新しいエンタテインメントを手に入れて、前の世代が楽しんだことのない楽しみもできると思う。VRのビジネスへの応用も進んでいくはず」と高橋氏。

広田氏は「今までナレーションなどでしか伝わらなかった部分が、自分の目で見るだけで把握できるようになる。言語を使わなくて伝わるのが、VRのすごいところ。例えば結婚式場の下見システムにVRを応用すれば、エキストラを揃えることなくリアルに近い式を体感できるようになります。いろんな業界で×VRが使われていくでしょうね」と、ビジネス分野への応用に期待を込めた。

國光氏は「スマホの次は目とネットがつながる時代がくる。その時代のコミュニケーションはどんな形になるのか。ショッピングはどうなるのか、タクシー予約は…。というように今、あるものをVR、ARに置き換えればどうなるということを意識して、開発をすればよいと思う」とアドバイス。

それを受け広田氏も「VRの検索の仕方もまだ見つかっていないですからね」と相づちを打った。

最後に國光氏は「スマートフォンのニッチなサービスを作っているのなら、今すぐ辞めて、VR、ARを活用したアプリ開発にチャレンジすることをお勧めします」と来場者に呼びかけ、セッションは終了した。

▲会場ではVR体験スペースも設けられ、賑わっていた

成果発表会ではユニークな製品・サービスが続々と

10分間の休憩の後、「TECH LAB PAAK」第4期PAAK Memberによる発表会が開催された。発表したのは11チーム(コミュニティ会員8チーム、プロジェクト会員チーム3チーム。

さまざまなサービスが紹介された。中でも記憶に残ったのは、ペルー出身の岡村アルベルトさんチームが発表した「Residence」。


Residence

これはビザを取得する外国人が、母国語で答えていくだけで申請に必要な日本語の様式を出力。さらにSkypeで本人確認を行い、行政書士がビザの代理申請をしてくれるというサービスである。

このサービスを思いついたきっかけは、岡村さんの友達がビザの取得不備でペルーに強制送還されたことから、「日本への入国は、日本語が話せない外国人にとって非常に敷居が高い」のだそうだ。

しかも驚きなのが価格。これだけのサービスが3000円で利用できるというのだ。審査員から「赤字ではないのか」という質問があったが、「原価をギリギリまで下げている。行政書士の方はあくまでチェックをして持って行くだけなので、この価格で実現できる」のだと言う。同サービスはメンター特別賞とオーディエンス賞を受賞。

TECH LAB PAAK賞を受賞したのは、山口征浩さんチームが発表した「Psychic VR Lab」。


Psychic VR Lab

Psychic VR LabのSTYLYはファッション向けVRショッピングプラットフォーム。VR上にオンラインショッピングモールを築き、ファッションブランドの世界観をVRで表現する。これにより商品の魅力、ブランドの世界観を伝えるという。

山口さんは「近い将来、VRで買い物をするのが当たり前になる」という。現在、STYLYではアパレルに特化した3Dスキャナの開発を進めており、2017年にはリリースを予定。

コストがかかると算入しづらいので、例えば3Dスキャナの使用料についても「無料で使ってもらえることを想定している」と言う。

また同じくファッションに特化したサービスを開発していたのが、廣橋博仁さん。廣橋さんの「Flicfit」は靴のバーチャル試着サービス。

自分の脚の3Dデータを登録することで、靴の3Dデータと照合し、フィット感を確認できるというもの。現在はパンプスに特化。

脚と靴のデータをマッチングするアルゴリズムは千葉大学との共同研究で開発している。「オムニチャネルのニーズも多く、サービスの設計も考えていきたい」と言う。

靴の測定も自社で行っているのだそうだ。同サービスはマイクロソフト賞を受賞していた。

そのほかにも水鳥敬満さんチームが開発した「InAppTranslation」というiOSアプリの多言語リリースを容易にするサービスは、TechCrunch Japan賞とオーディエンス賞を、額田一利さんチームが開発した段ボールでできたお手軽ロボット「embot」はLIG賞を受賞。

残念ながら賞からもれたサービスもあったが、いずれもユニークなものばかり。

7月8日には、VRコミュニティの活性化によるオープンイノベーションの促進をすべく、「TECH LAB PAAK VRコース」が始動した。

それらの技術を活用して今後、どんなユニークな製品・サービスが出てくるのか、TECH LAB PAAKの活動を注目したい。

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