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Wantedly川崎禎紀氏・メルカリ石黒卓弥氏が語る「ミライを創るエンジニアとの出会い方」

2016.12.15 Category:勉強会・イベント Tag: , , ,

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人事・雇用・採用・育成分野のオピニオンリーダーを招き、人事向け勉強会を開催する日本最大級の人事リアルコミュニティ「グローバル人事塾」。
11月22日の勉強会ではウォンテッドリーCTOの川崎禎紀氏とメルカリの石黒卓弥氏が登壇し、エンジニア採用のコツについて語った。
by 馬場美由紀 (CodeIQ中の人)

グローバル人事塾がエンジニア採用をテーマに「HR勉強会」

グローバル人事塾が主催する57回目「HR勉強会」は11月22日、エンジニア特化型キャリア支援を行うBranding Engineer(東京・渋谷)のイベントスペースで開催された。今回の勉強会のテーマは「ミライを創るエンジニアとの出会い方」。

グローバル人事塾・理事である伊藤和歌子氏によれば、人事・採用担当者より最も多く寄せられる課題が「エンジニアの採用」なのだそうだ。人事担当者だけでは解決できないエンジニアのスキル査定やマネジメント、将来のキャリアに関する悩みなど、課題が多い。

ワミィ株式会社 代表取締役 / グローバル人事塾 理事 伊藤和歌子氏

通常は採用全般とか育成・組織運営などをテーマに勉強会を開催しているが、そうした課題を解決するためのヒントを得てもらうべく、はじめての試みとして「エンジニア採用」をテーマとした勉強会を企画したという。

講演に先立ち、オープニングの挨拶に立ったのは、グローバル人事塾・代表理事の樫村周磨氏。

グローバル人事塾 代表理事 樫村周磨氏

「最先端のHRを学べる同勉強会は、すでに2000社以上の方に参加してもらっています。年内はあと2回ですが、2017年以降も毎月2回以上の開催を予定しているので、時間があればぜひ、参加してほしい」(樫村氏)

続いて、今回の会場の提供企業であるBranding Engineerのイベントを担当している土井皓貴氏が登壇。

Branding Engineer ビジネス Div. FCS事業部 / イベントチーム マネージャー 土井皓貴氏

「Branding Engineerは設立3年目のスタートアップ企業で、『TechStars』というエンジニア特化型のダイレクトリクルーティングサービスを提供している。ぜひ、エンジニアを採用する際にはこのサービスを使ってほしい」と参加者に、Branding Engineerに関する簡単な説明を行った。

今回の勉強会は、講師を務めるウォンテッドリー 取締役CTOの川崎氏とメルカリ・HRグループの石黒氏の「ざっくばらんな雰囲気にしたい」という思いから、講演開始前にビールなどのアルコールで乾杯をすることに。

グローバル人事塾 運営メンバー 原田亮一氏

パネルディスカッションでモデレータを務めるグローバル人事塾・運営メンバーの原田亮一氏が乾杯の音頭をとった。

ウォンテッドリーのエンジニア採用のプロセス

会場の雰囲気が一気にほぐれたところで、ウォンテッドリーCTO川崎禎紀氏の講演が始まった。タイトルは「Wantedlyにおけるエンジニアの採用の考え方」。

ウォンテッドリー株式会社 取締役CTO 川崎禎紀氏

川崎氏は2012年4月よりWantedlyの開発・運営に参画。
現在は取締役CTOとして開発、マーケティング、採用・育成など、プロダクトと組織作りに幅広く携わっている。

ウォンテッドリーは運命のチームや仕事に出会えたり、人脈を広げ、ビジネスの情報収集に使えるビジネスSNSを提供しているITベンチャー。

名刺管理アプリ「Wantedly People」、ビジネスチャット「Wantedly Chat」、企業と人をマッチングする求人アプリ「Wantedly Visit」などを提供している。

採用はしばしばマーケティングに例えられる。では本当に採用=マーケティングなのか。しかし、採用は会社というプロダクトを作る事業であると捉えている。

ここでいうプロダクトとは会社のこと。そして採用における顧客とは、潜在採用対象者(エンジニア)である。

プロダクトがダメなら、いくらマーケティングをやっても無駄だということ。ターゲット顧客にとって価値、独自性、魅力のあるプロダクトを作ることが重要になる。

その一方でいいプロダクトだからといって、自動的に顧客に届くわけでもない。顧客を理解し、プロダクトを認知し、購入してもらうようにしなければならない。

つまりエンジニア採用にとって、価値、独自性、魅力のある会社を作ることが第一に来る。その上で、どのようにエンジニアに対して採用広報をしていくか考えていくのである。
企業の中には採用担当者に丸投げのところも多いが、このような考え方を取り入れると、採用につながる。

採用には銀の弾丸(特効薬)などはない。会社によって、ビジネスモデルやプロダクトは異なり、そのための最適な開発体制やエンジニア組織も異なるからだ。

ではウォンテッドリーではどうしているのか。採用の基本姿勢は以下の5つ。

  • 自分たちの仲間は自分でリードして採用する意識
  • 自分が働きたい人は自分が一番よく分かる
  • 特にリーダーがコミットする
  • 採用チームに、あとヨロシクでは採用できない
  • リファラル(紹介)、面談対応、インターン受け入れ

エンジニア採用は、面談、選考エントリー、プログラミング課題、インターン選考(お試し入社:新卒だけではなく中途も)、最終面談というフローで行っている。

面談といってもまずは「話を聞きにきてもらう」が始まる。とにかく会社の魅力を伝えることに徹する。面接時間は人事(+応募者いちばんマッチしそうなエンジニア)とで40分。Skypeを使うこともある。

この段階で最低限のフィルタリングを行うと同時に、応募者の選考意欲を喚起しエントリーしてもらうようにするという。

応募者の流入経路の内訳は、Wantedly Visitでの応募・スカウトが半数以上で、続いて多いのが社員紹介、そして勉強会やミートアップの順に続く。

新卒も中途もインターン選考で、スキル、人物を見る

次に行うインターン選考とは、秘密保持契約を結び、実際のコードを見せ、GitHub issueで議論したり、プルリクエストでコードレビューをしたりなど、本物の問題を解決してもらうというもの。学生は基本5日間、社会人は1日間、参加してもらっている。

インターン選考をする理由は、カルチャーフィットとスキルフィットをお互いにチェックするため。入社後のミスマッチを防げるからだ。

リアルな問題にどう取り組むかという仕事の進め方、毎日のフィードバックにどう答えるか、ある程度巨大化したコードベースを読み解く力があるかなどのスキルチェックだけではなく、「また一緒にランチを食べに行きたいか」「隣に座っていて違和感がないか」という感覚をチェックすることも大事にしているという。

インターン選考には利点と欠点がある。利点はチームメンバーの納得感が得られること。また受入れ担当者のメンタリング力が向上したり、面接だけが上手で、会社に合わない人を採用するリスクを減らせたりするなどだ。

欠点は選考プロセスに時間がかかること。また忙しい人は来られなかったり、受入れ側の工数もかかることも挙げられる。

最終面談は、会社の役員6人と一人ずつ会う方法で実施。技術面談も行う(ホワイトボードコーディングやライブコーディングなど)。ここで本人の経験と合わせて基礎力の確認、難しい問題に直面したときの思考をチェックするのだ。

そして「-1:会社に入れてはいけない」「0:採用しなくてもよい」「+1:採用したい」「+100 絶対採用したい」の4段階で評価。1人でもマイナスを付けたり、0と1のみの場合は採用しない。

冒頭でも話したとおり、採用は会社というプロダクトを作るもの。そこで会社のゴールから考えていくことが大事になる。

ウォンテッドリーが目指しているのは、「シンプルで使っていて気持ちよく言語・カルチャー依存が少なく、口コミで広がっていくプロダクト」「薄く広く利益を出し、外貨を稼いでいけるビジネスモデル」である。そのためには作る人を大切にしており、エンジニアがプロダクトの裁量(責任)を持つようになっている。

つまりエンジニアにはオーナーシップを持ち、問題を見つけ、仮説を立て解決していくことが求められる。先に紹介した採用プロセスは素養を見るためのものだ。

エンジニア一人ひとりの強みは違う。会社にとって優秀なエンジニアを見つけられるプロセスを、経営ビジョン・ミッション、事業戦略から逆算してまずは構築することから始めてみてはいかがだろう。

メルカリのエンジニア採用の方法とは?

続いてメルカリの石黒卓弥氏が登壇。講演タイトルは「メルカリ流エンジニア採用ブランディング-エンジニア採用のはじめ方-」。

株式会社メルカリ HRグループ 石黒卓弥氏

石黒氏は新卒から10年ほどNTTドコモに在籍し、営業、採用育成、人事制度を担当した後、新規事業会社を設立し、新規事業のプロデュースに携わってきた。

2015年にメルカリにJOINし、現在、採用/人事企画を担当している。メルカリはフリマアプリの開発・運営をしているITベンチャーである。設立は2013年。東京、宮城(仙台)、米サンフランシスコ、英ロンドンの4拠点にオフィスを構えている。

メルカリのミッションは「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」こと。そしてこのミッションを達成するため、「Go Bold(大胆にやろう)」「All for One(全ては成功のために)」「Be Professional(プロフェッショナルであれ)」という3つのバリューを設定している。これがメルカリのコアな価値基準となっている。

メルカリは日本最大のフリマアプリとして成長しているが、今後も国内でのさらなるメルカリの拡大、グループ会社のソウゾウによる新サービスの提供、米国をはじめとした海外展開の加速を目指していく。

現在メルカリの採用を担当している石黒氏は、当初はこの業界のこともエンジニアのこともまったくわからなかったという。そこでまず社内のエンジニア全員と対面でとにかく話を聞いた。そして知らない言葉を調べたり、勉強会に行ったり、勧められた本を読んだりして勉強をした。

採用・育成・評価の参考にしているのが「WORK RULES!」という書籍である。これはGoogleの人事トップが語った働き方の書籍。

ここで石黒氏は会場に「たとえば採用にかけられる予算が100万円あったら、何に使えばよいか考えてほしい」と問いかけた。「皆さん、頭を悩ませると思う。この質問の意図は、旧来の人事の常識に流されることなく、ゼロベースで頭を使って考えているかを検証することにある」と石黒氏は言う。

採用広告のためのメディアは世の中にはたくさんあるが、メルカリの場合は、一例としてTwitterにターゲットを絞った広告を出すなどしている。また、自社のエンジニアブログ、Wantedlyブログなどで自社が見てほしい・伝えたい情報を発信することに力を入れている。

エンジニア採用においてブランディングが大切だと考えている。共感を呼ぶわかりやすい露出は多くの方の目に止まり、やがて声をかけられるようになる。声をかけられると、それが自信になる。

メルカリに在籍している社員の9割がリファラルと直接応募で、転職エージェント経由は約1割だという。リファラル採用で必要なものについて知りたい方は、以下のスライドを見てほしい。

20161122_How to start Recruiting Engineers_mercari_ishiguro from Takaya Ishiguro

「入社する理由」を伝え、「入社しない理由」を払拭する

採用ではクロージングも重要。ポイントとしては、「入社する理由を伝える」ことと「入社しない理由を払拭する」ことである。

そこで石黒氏は、WORK RULES!に書かれていることを実践してみたそうだ。例えば5人にオファーレター出す場合、同じ文面にはせず、一人ひとり丁寧に期待することを書いていくのである。実行前と実行後のレター文面を見てもらえるとその違いがわかるはずだ。

もう一つ大事なことは、「入社しない理由を払拭する」こと。応募者はいずれも転職に対する漠然とした不安を抱えていたり、現職の引き留めにあっていたり、家族に相談したら反対にあったりなど、入社しない理由がいくつもある。そのパターンにあわせて、ひとつひとつ払拭していく。

たとえば転職に対する漠然とした不安に対しては、ほかの入社したメンバーの例をより具体的にたくさん話す。

現職から引き留められているという場合は、新しい場所が作り出す個人の価値について話したり、給料への不安については評価体系を説明したり、家族の反対については寄り添って話を聞き、因数分解して話の根源を探ったりする。このように入社しない理由を1個ずつつぶしていくのである。

そして採用のブランディングで大事なのは継続していくこと。これが最も難しいことだという。どんなことを毎日、継続しているかは、こちらのブログを見てほしい。

メルカリは経営陣も継続して採用にコミットしている。経営目線でタレントプールを作成。そして欲しい人材は最後までくどき続け、可能性がゼロの人にも何度も声をかけている。こうしてメルカリでは自社のビジネスに必要なエンジニアの採用を行っているのだ。

エンジニア採用に関するお悩み相談も

川崎氏と石黒氏の講演が終わり、簡単な質疑応答の後、事前募集したお悩みをテーマに、パネルディスカッションが行われた。そのいくつかを紹介する。

【質問1】Wantedly以外でほかに使っている採用サービスはありますか? 使っている理由や使い分けなどについて教えてほしい。

川崎:Wantedlyの海外ユーザーはまだ少ないので、カントリーマネジャーを募集する場合は、現地の人材紹介会社にお願いしている。

石黒:Wantedly以外で使っているものもいくつかあるが、時間の多くをwantedlyに割いている。他サービスの利用例として、翻訳者の採用を行った際にIndeedを活用したことがあげられる。採用サービスを活用する判断基準は、自分がそのサービスにどこまで時間を割けられるか。時間を割きたいと思えるサービスだったら使う。

【質問2】エンジニア採用でコミュニケーション能力をどのくらい求めますか。コミュニケーション面は少し心配だが、テクニカル面が秀でている場合、またはその逆の場合など、判断はどうされているのか?

石黒:選考フローで必ず技術テストをやっているので、それをクリアしない限りは、まず採用しない。コミュニケーションが不安というのはいち面接官の評価。一緒に仕事ができるか、All for Oneかどうか、などの評価に合うか合わないかで判断している。

川崎:これは組織で解決できる問題。我々は両立することはマストではない。それを生かせるチーム作りをすること。当社にはPMはいない。エンジニアがプロダクトマネジャーを兼ねているので。

【質問3】社長・エンジニアが採用活動に非協力的。巻き込むいい方法を教えていただきたい。

川崎:エンジニアはシャイな人も多いので、話すのが嫌だという人もいる。当社の会社の場合は、1対1で応募者と話すのは苦手という人には、エンジニアブログや登壇発表など別のところで活躍してもらうようにしている。

石黒:エンジニアの場合、採用活動といってもなにをすればいいのか不安を感じていることが多いと思うので、まめに話しかけ、なにかあるごとに感謝を伝える。そうすることで徐々に巻き込んでいけるのではと思う。

【質問4】採用競合との差別化について。特に中小SIerで客先常駐、プロジェクトに大きな特長が出せない場合の応募者の獲得が極めて難しいと感じている。

川崎:実際に働いている社員が何に惹かれて入っているのか、それをヒアリングすると、差別化のポイントが見えてくるのではないか。

石黒:特徴が出せないことはないと思う。頑張って自社で働く人の話を聞きまくるしかない。例えば常駐先のプロジェクトを見にいってはダメだという固定概念を捨ててみては。もしかしたら、自社のエンジニアたちが働いている現場を見に行くことは一つのヒントになるかも。

【質問5】製品を自社開発している。テンポよくサービスをリリースさせたいが、企画や営業が途中で口を挟んでくるので、なかなかテンポよくリリースできない。

川崎:これは組織体制の問題。エンジニアチーム、営業企画チームというように、職務で分かれるとそうなる。事業単位でチームを組んで一緒に座らせる。当社のようにエンジニアにディレクター的な役割を担わせるのも手。

エンジニアの場合、「やってください」というと、納得感が得られないのでだいたいが「嫌」と答える。だが、「こういう問題を抱えているんですよ」と相談すると、エンジニアは課題解決が好きなので答えてくれる。そういうコミュニケーションスタイルにすると解決できると思う。

【質問6】当社の場合、テストエンジニア(QA)からキャリアがスタートする。QAを1~2年経験した後、開発エンジニアにステップアップするが、QAの時点でモチベーションが下がり、辞めていく人も多い。

石黒:QAがいかに楽しいか、QAという仕事の大事さを話すことで解決できるのでは。誇りを持って仕事をしている先輩を育てていくことが大事。

川崎:1~2年という期間が長いような気もするが、例えば小さな範囲でも自分で意思決定できるよう裁量を与えるなど、成長実感が得られる設計をしてあげればうまくいくのではないかと思う。成長実感があって、周りの人もよく、やっていることの意義があれば、モチベーションは保たれると思う。

勉強会はパネルディスカッションで終了。記念撮影後は懇親会も開催された。

ウォンテッドリーとメルカリ、いずれも成長著しい2社。その成長の背景にあったのは、優秀なエンジニアの採用ができていること。エンジニア採用に悩みを抱えている企業の方は、両社のやり方を参考にしてみてはいかがだろう。

(執筆:中村仁美 撮影:刑部友康)

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