CodeIQ MAGAZINECodeIQ MAGAZINE

Webブラウザ技術で、直接モノを制御する!「Web×IoT メイカーズハッカソン」【2日目】

2017.04.10 Category:勉強会・イベント Tag: , , ,

  • 5
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Web技術でセンサーやアクチュエーターなどを直接制御できる組み込みボード「CHIRIMEN」を使ってユニークな作品づくりに挑戦する「Web×IoTメイカーズハッカソン」が開催されました。
3月18~19日の2日間にわたり、熱い戦いが繰り広げられたハッカソンの様子をレポートします!
by こだまひでゆき

2日目開始

翌日3月19日の朝。目黒は2日目も良い天気に恵まれました。本当によかった!

いよいよ最終日。目黒駅から会場に向かう途中に渡る目黒川の様子

この日のハックは10:00から。14:30からの成果発表までの4時間半が各チームに残された時間です。

ただ見学しているだけの筆者でも残り4時間半は短い!とあせります。実際に手を動かす参加者はもっとあせっているかもしれませんが、ここは祈る気持ちでスタート!

全12チームのハックの様子と作品紹介

今回のハッカソンには学生から社会人まで、さまざまなバックエンドを持つハッカーたち12チームが集結しました。

なぜかレポートの後半になってからで恐縮ですが、ここからいよいよチームごとに作品紹介を行っていきます。

※ハッカソンの各チームはAからLまで個別のアルファベットが設定されていましたので。本稿でもアルファベット順で各チームの紹介を行います。

チームA 作品名「moood」

チームA「村井研元Arch」の2人は、センサから部屋など環境の状態を測定し、そのデータから導き出した「雰囲気」に適したコンテンツを仲間内でリアルタイムに共有する「moood」を制作しました。

ハック中の様子

「村井研元Arch」のお2人と「moood」の画面(中央と向かって右側のPCの画面)

「moood」はCHIRIMENに繋いだI2CやGPIO経由で制御するセンサーから情報を取得するだけでなく、SonyのMESHなどCHIRIMENだけでなく異なる環境で取得したセンサーデータも活用。こうした異なる環境からの情報も含めてWeb上でマッシュアップした柔軟性の高いシステムをアピールしていました。

チームB 作品名「たっぷ音」

チームB「CoderDojo Kashiwa学生メンターズ」は「たっぷ音」というCHIRIMENを使ったサンプラー(録音した音を特定のトリガで再生する楽器の一種)の開発に挑戦していました。

ハック中の様子

「CoderDojo Kashiwa学生メンターズ」のみなさま

彼らは音データの登録・プロジェクトの作成・ロードといったすべての工程をWebで実装しました。さらには、まだ実装途中だが将来WebSocketを使い、他の場所にいる人もプレイヤーの演奏が体験できるようになるとのこと。

残念ながらスイッチ部分のハードウェア制作は間に合いませんでしたが、個人的にはぜひ完成を目指してほしい作品です!

チームC 作品名「Web of Trees」

チームC「Gitibi」はWebからセンサーやアクチュエータ(ソレノイドバルブ)を連携させて木の育成、とりわけ水分の管理に着目した作品「Web of Trees」を制作しました。

実験中の配線

「Gitobi」のみなさま

湿度センサーとホースを使って、湿度に応じた木への水分供給のON/OFFをCHIRIMENを使って自動制御できる様子をデモ。

今回の「Web of Trees」では、水分の管理に特化していることや、CHIRIMENとWeb技術を利用することで、個人レベルでの導入が容易になることなどを挙げ、既存の自動農業の仕組みと比べコストメリット高い点をアピールしていました。

チームD 作品名「HeartWeather」

チームD 「つくるラボ」は普段可視化しずらい情報、とりわけ人の感情や雰囲気といった情報を直感的にわかりやすい「天気」に置き換えて可視化する作品「HeartWeather」を制作。

「HeartWeather」は、お寺のオブジェクトや庭園などが収められた箱にWeb経由で情報を伝達すると、箱の中の「天気」がリアルに変化する作品です。

製作中の「HeartWeather」装置。この後さらなる進化を遂げてプレゼンに臨んだ。

「つくるラボ」のみなさま

この箱のギミック制御とWebとの通信にCHIRIMENを活用。LEDによるライティングによる日照の表現、雨を表現するための降水機能、さらには白玉粉で雪を表現する機能までも搭載され、「天気」をリアルに表現するための細部の調整、気迫が伝わってきそうな作品となっていました。

チームE 作品名「みんなでフーガ」

チームE 「チーム温泉行きたい」は、CHIRIMEN上で再生される曲「フーガ」を奏でる4つの独立したパートの演奏にWeb経由で最大4人まで参加できるゲーム「みんなでフーガ」を制作しました。

このゲームで操作するのは再生速度。操作を怠るとどんどん演奏スピードが速くなり、他のパートとスピードが合わずハチャメチャな曲になってしまいます。これをタイミングよくスマホを操作することで防ぎ、参加したユーザー同士で最後まで曲を演奏しよう、というゲームです。

ハック中のチームE「チーム温泉行きたい」

「みんなでフーガ」の全容

楽しそうな作品ですが、音をリアルタイムに扱うために数ms単位でポーリングを行うためのCHRIMENの性能をいろいろチェックされたとのこと。その甲斐もあってかMIDIデータの曲が遅れを感じさせることなくスムーズに再生されていたことが印象的でした。

チームF 作品名「塵のようなメンタリティ」

「塵のようなメンタリティ」チームはiPadを傾けることで「シャオミー君」のプロペラを回す作品の制作にチャレンジしていました。

「シャオミー君」

チームF 「塵のようなメンタリティ」のみなさま

今回のハッカソンのデモでは残念ながらプロペラは回りませんでしたが、真っ白いカメラの上に青いプロペラをつけた「シャオミー君」はインパクト大。今後もハックを続け、いずれは大空に飛び立てるようになってほしいと思いました。

チームG 作品名「Effective Electroid Interactive Controller」

チームG「Effective Electroid Interactive Controllerをつくる集団」が作成したのは「Effective Electroid Interactive Controller」。

この長い名前の作品は、次世代の動物園の案内板。動物園において会いたい動物のオブジェクトを触ることで、案内板にその動物の位置や現在位置からの道筋などが示される仕組みです。

会いたい動物に「触れる」非常に直感的なUIだ。

チームG「Effective Electroid Interactive Controllerをつくる集団」のみなさま

タッチパネル全盛の時代に、あえて物理的な人形を使ったUIを投入することで直感的なUIの提示に成功した作品だと感じました。

チームH 作品名「リモコン・アーム」

チームH「MGN3/4」が提示した「リモコン・アーム」は様々な機器の操作を可能にする未来のリモコンです。

当日はリモコンを押す機能をCHIRIMENに接続したサーボモーター経由で動作させるデモを実施していました。

「リモコン・アーム」のデモ

様々な機器をリモートコントロール可能という点では「学習リモコン」にも似ていますが「リモコン・アーム」が目指すのは、リモコンが搭載されていないような非常に古い機器であっても物理的にON/OFFスイッチなどが搭載されていれば制御可能とするもの。

IoTといえば、様々なモノ自体をIoT対応に作り変える、買い換えることをイメージするが「リモコン・アーム」があればIoTに対応しない機器をもIoTを使った自動制御対象になるとアピール。継続的に開発を進め商品化を目指してほしい作品です。

チームH「MGN3/4」のみなさま

チームI 作品名「女子トイレタイムキーパー」

チームI「女子トイレ行列対策チーム」は「女子トイレタイムキーパー」というトイレIoT作品を提案。

日頃から女子トイレの長時間占有による長蛇の列に問題意識を持っているとのことで、人感センサーなどで長蛇の列の発生を監視し、一定時間以上トイレを占有している客に対して、早期退出を求める機能(ノック等)を提案していました。

ハック中の様子

プレゼンを終えた「女子トイレ行列対策チーム」

チームJ 作品名「救急箱」

チームJ「MelonNeXT」は一人暮らしの老人の生活をサポートする「救急箱」システムを提案しました。

救急箱の中身をがんばって制作中!

救急箱に搭載した温度センサーによってエアコンのONをリコメンドしたり、特定の時間になったら薬を提供するような機能も。

将来的には常時装着可能な大きさまで小型化したいとのことで、装着する人の心拍数などヘルスケア情報も取得。よりきめ細やかなサポートの実現を目指しました。

ハッカソンでは救急箱を使ったデモは完成しませんでしたが、AppleWatchの大きな競争相手ともなりうるようなコンセプトの作品だけに、今後の発展と実用化に期待したいと感じました。

「MelonNeXT」のみなさま

チームK 作品名「WoS(Web Of Shoes)」

チームKが発表した「WoS(Web Of Shoes)」は、靴に装着するデバイスです。

靴の中敷に仕込んだ圧力センサーにより、従来の加速度センサーや振動センサーを用いた方式よりも正確な歩数計測を目指します。

靴の中敷に装着された圧力センサー

さらには靴の中に湿度センサーとファンも追加することで、蒸れた時に自動的にファンを回して解消する、といった機能も提案されていました。これらの機能をWebと組み合わせることでスポーツトレーニング時に細かいデータをリアルタイムに取得し閲覧可能になるなど、具体的なユースケースについてもアピールしていました。

チームKのみなさま

デモでは各センサーやアクチュエーター単体をCHIRIMENで制御する部分まで実施されていました。

チームL 作品名「nature session」

チームLが発表したのは「nature session」。植物とのコミュニケーションを目指す作品です。

この作品では植物に取り付けられたさまざまなセンサーで植物の状態を取得し音に変換。植物のキモチに応じた音色を奏でることに成功していました。

チームLのみなさま

たくさんセンサーが取り付けられた植木の様子

本作品の技術を発展させれば植物のキモチがわかる植木鉢などへの展開も可能とのことで、商品化されれば植物と意思疎通を行いたい人にとっても朗報。今後が楽しみな作品のひとつです。

成果発表と審査の様子

今回のハッカソンでの成果発表は、それまで作業を行なっていた机の上で行われました。審査員や他のチームメンバーが発表チームの机へ移動します。

発表開始までの時間に不公平が生じないよう、発表チームの机を訪れる順番はその場でくじ引きで決める、という念の入れよう。

定点カメラが設置しにくい等の欠点も感じましたが、一方でスクリーンを共有するだけでは共有しにくい、ホンモノの作品成果を参加者全員で道近に体感できるスタイルだと感じました。

各チームの発表の様子。後ろに居ると見えにくい!前に移動!

至近距離で審査に臨む審査員の先生方からの厳しい質問も、この距離感なら良い雰囲気に。

本ハッカソンの審査員のみなさま。以下敬称略。向かって左から、東京大学大学院 苗村 健教授、Mozilla Japan 代表理事 瀧田佐登子氏、慶應義塾大学 中村修教授

参加者からのフィードバックタイム

全チームの発表タイムが終了したところで、ハッカソン参加者全員集合してフィードバックタイムの開始です。

今回のハッカソンで利用したWeb GPIO API / Web I2C APIなどのWeb APIや、開発環境CHIRIMENへの不満、要望などのフィードバックが行われました。

40分を超える時間議論が続きましたので、さまざまな意見がでましたが、いくつかかいつまんで紹介できたらと思います。

CHRIMENにつないだマウスのホイールが利用できない。ホイールでスクロールしたい

  • 確かに指摘の通り。対応検討したい

CHIRIMENはどのようにデバッグするのか?

  • WebIDEを利用してデバッグする。USBでPCと接続しFirefoxからWebIDEを起動してCHIRIMENと接続後、対象のWebアプリを選ぶとデバッグ可能になる。
  • WebIDEの起動方法などの手順はCHIRIMEN Hello world などを参照のこと

CHIRIMENのWebブラウザで外部サーバに設置したWebコンテンツからWeb GPIO APIなどを用いると、外部サーバからもCHIRIMENに接続されたデバイスにアクセスできる。何か特権を設けてセキュリティを担保すべきではないか?

  • 指摘の通り課題である。localhost上で動作しているからといって安心できないユースケースもある時代になった。
  • セキュリティの確保は必要なのでどのような実現方法が良いのか今後も継続議論したい

Web I2C APIでバイト書き込みなどがサポートされていない

  • 近日中にいくつかのAPIを追加提案する予定

Webからハード制御するためにはWeb APIのさらなる抽象化が必要ではないか

  • W3Cでは、Device and Sensors WGにおいてGeneric Sensor APIという汎化したAPIを検討中である。
  • また、WoT WGではそれをさらにアブストラクトなものにして、モノとモノのやり取りを表現するための方法を検討中である。

CHIRIMENが買えない

  • 売ってもらえるように働きかけている

CHIRIMENのピン番号がわかりにくい (1-36等の方が嬉しい)

  • 次期ハード設計時は検討したい

CHIRIMENのドキュメントが少ない

ハッカソンを通じて手を動かした人たちのフィードバックはどれも説得力のあるものでした。

審査結果発表・エンディング

いよいよ、審査結果の発表です。

優秀賞 : チームA 「村井研元Arch」作品名「moood」

優秀賞にはチームA「村井研元Arch」の「moood」が選ばれました!

選定理由として審査員長の中村修教授より「WebとIoTという中で、いろんなセンサの値を取ってくるだけならWebでなくてもできるけど、Webを使っているからこそネット上の情報をeasyにマッシュアップできること、まさにWebらしさを表現していた」とのコメントがありました。

審査員の瀧田佐登子氏より優秀賞を授与される「村井研元Arch」のみなさま

最優秀賞 : チームD 「つくるラボ」作品名「HeartWeather」

最優秀賞にはチームD「つくるラボ」の「HeartWeather」が選ばれました!

選定理由として審査員長の中村修教授より「Webでは通常ディスプレイに対してラスタライゼーションした結果を出力するが、本作品ではアクチュエータなどを使って物理的、3D的な表現に成功していた。さらには、人の感情など様々なものを天気として表現することに着目した点を評価した」とのコメントがありました。

審査員の苗村健教授より最優秀賞を授与されたチームD「つくるラボ」のみなさま

優秀賞と最優秀賞の発表につづいて苗村健教授より、「審査員の得票は僅差で2チームに選ぶのは大変だったがセンシングとディスプレイという2つの軸で選ばせていただいた。選ばれなかったチームも惜しかったのでいろいろなハッカソンに参加したらまた結果が変わるとおもう」とのコメントが。

さらに審査員の瀧田佐登子氏より、「すごくワクワクした。Webとインターネット、リアルの垣根がなくなり共存する時代になってきているとの印象を受けた。最後まで実装できなかったチームも続け次の機会に向けて実装をすすめてほしい」とのコメントがありました。

最優秀賞、優秀賞受賞おめでとうございます!

3名の審査員によるコメントの様子

無事フィナーレ。次回開催への期待高まる展開に

審査結果発表のあとは、本ハッカソンの後援である総務省の通信規格課・課長中西悦子氏より、乾杯の挨拶で懇親会がはじまりました。

今回のハッカソンにちなんで「ちりめん」の着物で参加された総務省中西課長(向かって左側)


懇親会に登場したケーキタワー

また懇親会ではMozilla Japan瀧田代表より、今回のハッカソン参加全チームにCHIRIMENボードが贈呈されるという嬉しいサプライズもありました!

Mozilla Japan瀧田代表からの嬉しいサプライズ!

これで思う存分ハックの続きができるはず!次回ハッカソン開催の期待が高まったところで本イベントは無事フィナーレを迎えました。

おつかれさまでした!

こだま ひでゆき (a.k.a. D.F.Mac.)
携帯電話キャリア関連企業でエンジニアとして働きながら、「Web Music Developers JP」や「CHIRIMEN Open Hardware」などのコミュニティで雑なDIY担当として暗躍中。「Webアプリだ!」と称してワケのワカラナイモノを作るのがすき。代表作はフィジカルWebアプリ「ちーん」、「CheenRimen」「缶たたき機」など。
twitter: @tadfmac

  • 5
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

■関連記事

【鹿児島の熱量を感じろ!】モバイルの未来は地方こそ主役「MOBILE CONFERENCE 2017... エンジニア・デザイナーのためのカンファレンスが鹿児島で開催 ウェブやモバイルのエンジニア・デザイナーのためのカンファレンス「MOBILE CONFERENCE 2017」。鹿児島キャリアデザイン専門学校マルチホールを会場に開催された。 この日はあいにくの雨天にも関わらず、会場はウェブ・モバイ...
ロバート・タージャン氏を直撃取材―IntertrustはLINEのセキュリティ技術に何をもたらすか?... LINEとIntertrust社が共同でセキュリティ・サミットを開催 LINEは、Intertrust Technologies Corporation(本社:カリフォルニア州、以下:Intertrust)と共催で、アプリケーションセキュリティおよびデータプライバシー強化ソリューションの促進を目的...
Webブラウザ技術で、直接モノを制御する!「Web×IoT メイカーズハッカソン」【1日目】... ハッカソンのテーマは「ブラウザからのハードウェア直接制御」 今回のハッカソンでは、「ハードウェアの制御をブラウザー技術だけでコントロールした作品づくり」というテーマが設定されました。 ブラウザといえば「PCやスマホからWebサイトを閲覧するためのもの」というイメージがあります。あまりハードウェア...
非エンジニアがハッカソンに出るモチベーション、チームビルディングについて考えてみた... なぜ、ハッカソンに参加するのか 私の本業はクリエーターのためのポートフォリオ作成サイトCOLET(コレット)を開発しているちょっと変わった事業相談が大好きな行政書士です。 ハッカソンに出るモチベーションやチームビルディングが、エンジニア以外のごくごく一般人の参加者によってあまり書かれることはなか...
食品をプリントする!?オランダTNOのフード3Dプリントへの取り組み... TNOっては? フード3Dプリントに早くから取り組んでいる機関として、オランダの「TNO: the Netherlands Organization for Applied Scientific Research」がある。 TNOは3Dプリント技術の研究開発や産業ベースでの展開を行っている研究機...
聖夜のアイデアソン -Pepper Loves LINE BOT-... LINE BOT AWARDSとは 「LINE BOT AWARDS」とは、LINEのchatbot開発促進及びユーザーへの普及を目的に開催するAwards。個人・法人問わず誰でも参加可能なAwardsで、応募〆切は2月22日です。 ▲▲LINE株式会社 ビジネスプラットフォーム事業室 戦略企画...

今週のPickUPレポート

新着記事

週間ランキング

CodeIQとは

CodeIQ(コードアイキュー)とは、自分の実力を知りたいITエンジニア向けの、実務スキル評価サービスです。

CodeIQご利用にあたって
関連サイト
codeiq

リクルートグループサイトへ