CodeIQ MAGAZINECodeIQ MAGAZINE

Microsoft HoloLensが実現するMixed Realityの世界とは?─エバンジェリスト高橋忍氏が語る!

2017.05.10 Category:勉強会・イベント Tag: , , , ,

  • 7
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「Microsoft HoloLens」はWindows10が搭載されており、それ自身がコンピュータである。しかし個人で手に入れるのには、金額的に敷居が高いというのも本音だ。
そこで今回はHoloLensテクニカルエバンジェリストの高橋忍さんが、HoloLensとはどんなハードなのか。またMicrosoftが目指すMixed Reality(MR)とはどんな世界か。その概要を披露した。
by 馬場美由紀 (CodeIQ中の人)

Mixed Realityはフィジカルとバーチャルの情報を重ね合わせたもの

Mixed Reality(ミックスドリアリティ/MR)は、Virtual Reality(バーチャルリアリティ/VR)やAugmented reality(AR)と何がどう違うのか。

まずはフィジカルリアリティ。これは現実世界のことで、実際に空間の中にオブジェクトがあり、私たちは自分たちの五感を通じて把握する。

Augmented reality(AR)とは、フィジカルリアリティにコンピューティングの情報を重ねて表示する。

Virtual Reality(VR)は、オブジェクトも空間もバーチャルであり、それをコンソール画面を媒介に五感を通じて提供することで、あたかもそこにモノがあるように感じさせるもの。

そしてMicrosoftがいうMRとは、その中間で、フィジカルとバーチャルの世界の情報を重ね合わせたものである。

こういうと「ARと何が違うのか」という話になる。たしかに人によってはARとMRは同じと表現する人もいる。

しかし、ARとMRは違う。それは現実世界との干渉の有無である。MRの場合は、例えばバーチャルなボールを現実世界の壁に向けて投げると、それが跳ね返ってくるというような動きになる。

つまり、バーチャルなオブジェクトをリアルなオブジェクト同様の感覚で扱えるようになるというわけだ。

HoloLensは自己完結型のホログラフィックコンピュータ

では、MRを実現するHoloLensとはどんなデバイスか。

HoloLensとはケーブルレスでスタンドアローンのホログラフィックコンピュータ。CPUやGPU、センサー類などが搭載されており自己完結型であるため、このデバイス一つで使える。

HoloLensを開発したのは、Xboxで使用されているKinectというセンサーデバイスの開発チームである。デバイスの両サイドにあるセンサーを使い、空間認識をする。

また正面にはジェスチャー用のカメラが搭載されている。

HoloLensの最大の特徴はハンズフリーで使えること。操作はジェスチャーもしくは音声で行う。またレンズはシースルーであるため、リアルな景色がちゃんと見えることだ。

したがって、現実の作業にコンピュータの情報を重ね合わせて表示することもできるというわけだ。

そして、そのような環境の認識やオブジェクトの生成などの処理を担当するのが、HPUというマイクロソフトが独自開発したチップセットである。

HoloLensのCPUは32ビット、メモリは64GBストレージ、RAMは2Gとそれほど高スペックというわけではない。しかしこのHPUによりパワフルな処理ができる。

またHoloLensにはスピーカーも搭載されており、バーチャルなラジオを前に置いたら、前からちゃんと聞こえ、ラジオを背に遠ざかると、ちゃんと後ろから音が鳴っているように聞こえるという。

HoloLensはWindows10が搭載されているため、Windows10のストアアプリを実行できる。YouTubeを閲覧したり、Edgeでネットサーフィンするのはもちろん、エクセルを空間上に表示させ、使うことだってできる。HoloLens専用のアプリケーションもすでに公開されており、ストアでダウンロードが可能だ。

HoloLens用のアプリはDirectX、もしくはUnityで開発できるが、特にオススメなのはUnityだ。

Unityでは仮想の空、仮想の地面、カメラを設定するが、HoloLens用の画面の場合は仮想の空を削除して、カメラの前に、一つキューブ(立方体)を作ってコンパイルして実行すれば、空間に立方体を表示できるというように、直感的な開発ができるからだ。

さまざまな作業のシーンでHoloLensが活用されている

現在、マイクロソフトが想定しているHoloLensの利用シーンは、これまでコンピュータの力が生かされてなかった現実の世界。

例えば世界大手のエレベータメーカードイツのThyssenKrupp社では、エレベータのメンテナンス現場でHoloLensを活用している。作業員はHoloLensを着用し、現実の修理場面にコンピュータの情報を表示させることで、いつもの作業をより効率的に正確に行えるようになったという。

また建築の世界でもHoloLensの活用が進んでいる。これから作ろうとする建物をHoloLensで立体視し、みんなで共有するのである。実はHololenzにはシェアリングという機能が搭載されている。

この機能を使うと一つのホログラフィックを、HoloLensを装着している複数の人たちで共有できるのだ。実際にこの機能を使う際には、PCに画面を映し出し、そのPCを解して映像を共有することになる。

またボルボでは販売する店舗にHoloLensを置き、接客に使っているという。そのほかにも航空会社の機体メンテナンスの学習に用いられたり、患者への説明シーンに加え、学生が学ぶためのツールなど、医療の世界でもHoloLensの活用は進んでいる。

HoloLensがこのような業務のシーンで活用が進んでいるのは、高精細なスクリーンを持っていることも理由の一つに挙げられる。リアルを再現する力が高いからだ。リアライズする力も高い。

HoloLensは現在、開発者向け、企業向けのデバイスだが、いろいろなデバイスメーカーからWindow Mixed Reality対応のデバイスが登場してくる。

Game Developers Conference(GDC)で発表されたエーサーのデバイスもその一つだ。

同デバイスの価格は300ドル~400ドルとなる予定。Windws10のPCと接続してMRを楽しむことができる。これからもマイクロソフトではさまざまなデバイスを提供しながら、より多くの人々がMRの世界を体験できる世界を推進していく。

またHoloLensを体験する機会も、定期的に提供していくので、ぜひ、機会があれば参加してほしい。

  • 7
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

■関連記事

及川卓也・増井雄一郎・白石俊平・湊川あい──新しい言語・フレームワークは何を選ぶ?どう学ぶ?... 得意な言語と好きな言語 本セッションのファシリテーターを務めたのは、及川卓也さん。増井雄一郎さん、白石俊平さんがエンジニア枠、そして湊川あいさんはデザイナーという立場で語っていただいた。 ☆登壇者プロフィール プロダクト・エンジニアリングアドバイザー 及川 卓也さん早稲田大学理工学部卒業後...
スタートアップ企業で入社一人目エンジニアに誘われたら、気をつけるべきことは何ですか?... パネラー、ファシリテータを務めた3人のプロフィール テクニカルなスタートアップは、技術のわかるエンジニアとビジネスを考える人材がセットとなって始まる。つまりそういう企業には必ず、「一人目のエンジニア」が存在する。 一人目のエンジニアにどんな経緯でなったのか。また一人目のエンジニアに向いているのは...
アドテクは新しい技術の宝庫!?──ヨッピーさんがインターネット広告の未来、面白さを探る... 1994年のバナー広告から始まったアドテク発展の歴史 今回インターネット広告とアドテクをテーマを選んだ理由は、「アドテクに携わっているエンジニアがすごく少ない」」っていう話を聞いたからなんですね。でもインターネットにおける広告の役割はビジネスにとってすごく大事なことだし、新しい技術もあれこれ入っ...
ドワンゴ塩谷啓氏が明かす──アンチパターンから探る、採用担当者が読みたくなる職務経歴書って?... フォーマットに気をつける 今回のセッションテーマは「採用担当者が読みたくてたまらなくなる職務経歴書を書くために絶対に外せない3つのポイント」。このようなテーマを掲げてはいるが、実は「読みたくてたまらなくなるポイント」というものはない。 それは応募書類自体に、価値があるわけではない。価値があるのは...
これからのマネジメントは面白い!?─多様化するエンジニアのキャリアパスのその先を考えてみた... エンジニアのタイプはさまざま。現在の職種と役割について 9月16日に開催されたCodeIQ感謝祭で、「多様化するエンジニアのキャリアパス、その先を考える」というテーマで行われたパネルディスカッション。 登壇したのは、2017年6月に独立し、現在はプロダクト・エンジニアリングアドバイザーとして活躍...
【CodeIQ感謝祭】豪華ゲスト&ギャル電もサプライズ登場して盛り上がりました!#codeiq39... エンジニアの"最先端"を見て学ぼう!をテーマに開催 2017年9月16日にCodeIQ感謝祭を開催しました。あいにくの雨にもかかわらず、たくさんのエンジニアの方にご来場いただき、本当にありがとうございました。 司会はきゃんちこと、CodeIQ MAGAZINEの公式アイドルレポーター喜屋武ちあき...

今週のPickUPレポート

新着記事

週間ランキング

CodeIQとは

CodeIQ(コードアイキュー)とは、自分の実力を知りたいITエンジニア向けの、実務スキル評価サービスです。

CodeIQご利用にあたって
関連サイト
codeiq

リクルートグループサイトへ