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仕事=生きがい“じゃない”人生だってアリ─バンドで自己実現するエンジニア人生

2017.07.03 Category:インタビュー Tag: , ,

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現在政府が推し進める「働き方改革」。
その中では雇用関係によらない働き方、つまり「フリーランス」の働き方が目を集めている。
今回はフリーランスという働き方を通じて仕事“以外”の場所に、生きがいを見出したエンジニア河内真吾氏にインタビュー。仕事と趣味を両立するためのテクニックや、フリーランスという働き方の醍醐味についてお話いただいた。
by はぎー(geechsマガジン編集部)

仕事とバンド活動の両立で自己実現

現在、河内氏はフリーランスエンジニアとして週5日で働きながら、バンドを両立させる生活を行っている。

フリーランスになったのは、昨年の2016年5月。働き方は、基本平日朝10時から19時までクライアントの開発現場で働き、合間の時間でバンドの練習を行うというもの。

河内氏にとってのバンドは、“自己実現の場”であり、人が言う「趣味」の域を超えた意味がある。昨年フリーランスになるまで、河内さんは3社の会社で正社員として就業していた。

10年の会社員人生は楽しいこと、苦しいこと、どちらもあったが、自分が納得できる働き方はコレではないと気付くことができた。特に、実感したのは3社目の大手ポータルサイト会社での経験だった。

河内真吾氏
大阪のソフトウェア開発会社のシステムエンジニアとしてキャリアをスタート。その後スキルチェンジを求めて東京へ転居・転職。文化の違う企業をいくつか経験し、会社を通してではなく自分の好きなことで自己実現をしようと想い、2015年フリーランスになる。現在は開発業務と趣味のバンド活動を両立し、ワークライフバランスを重視した働き方を実践。

認められていながら、自分の意思と会社の意向は食い違う

この企業ではソーシャルアプリの立ち上げを行い、プログラミングだけでなく事業へどう貢献すべきか、など新しい視点が必要になった。

その過程で事業目線を持つビジネスの楽しさを学べ、同時に社内での評価もついてくる。したがって、昇格もでき、裁量権も増えていった。

しかし、河内氏はある違和感を拭えずにいた。立場や年収が上がるたび個人としての発言が許されなくなるような窮屈さを、徐々に感じるようになっていった。

「ある程度の経験や年収がある社員には、個人としての意思より会社の意向を大切にすべきだと求める会社の空気を感じました。これまで頑張ってきたのだからと主張をすると『与えてもらったその立場で、その発言なのか?』と返されてしまうこともあり、そのときはショックでしたね」

もともと、河内氏は組織の中でやりがいを感じられないタイプだったわけでなく、極めてポジティブに仕事に取り組むタイプだった。

「1日で大半の時間は仕事をして過ごしますよね。それなら、自分でも良いと思える時間、楽しい時間にしたいと思いました。自分が楽しいと思えるのは、会社に貢献することで会社から評価される、大切にされることだと思ったので、いかに貢献できるか、評価されるかというポイントに対して、とてもがむしゃらに頑張っていました」

その結果としての評価が、昇格や裁量権だったわけだが、それが河内氏を苦しめてしまう結果になった。

その背景には、仕事の時間を楽しくしようとしたがゆえに、“会社での評価”=“自己実現”だと無理にリンクさせてしまったことがあった。

この違和感を解消しようと、比較的昇格や裁量権の枠組みに捕らわれないベンチャー企業に転職したが、今度は社風があわなかった。これが、いよいよ自分の価値観を見つめなおす機会になった。

どんなワークスタイル、どんなライフスタイルが自分の最も納得できる道なのか。

その結果、選択した方法が“フリーランスとして働き、仕事はあくまで生活手段として。自由になる時間を自分が一番楽しいと思えるバンドに費やそう”というものだった。

思いっきり自己を開放・表現することが何より楽しい

河内氏は昔から歌うことが好きで、J-POPアーティスト曲をよく聴いていた。特にMr.Childrenのファンだった。

「高校生の頃に、スーパーカー、ナンバーガール、くるり、中村一義など、97年世代の音楽にハマって、自分でもバンドをやりたいとギターを初めて買いました。当時はライブにもよく行ってましたね。職で上京後アマチュアバンド結成をして活動しているんですが、今も97年世代のアーティストの影響を強く受けているんです」

普段は口数の多くない河内氏だが、バンドの魅力については大いに語ってくれた。

「バンドでは非現実的な経験を味わえます。ライブハウスという非日常的な空間で、演奏やパフォーマンスといった非日常的な表現ができるのが何より快感。ワンマンライブで大勢のお客さんの前で演奏した時は特に感動しましたね。
それに、これはバンド“ならでは”ですが、自分以外のメンバーとの音のぶつけ合いが気持ちいい!その中で各々のパフォーマンスが一つにまとまっていく瞬間が最高です!」

そして、バンドは河内氏にとって自己実現の場として選んだ舞台。趣味として音楽活動に取り組む人以上の感情がある。

「ライブでは、日常生活では表現できない事をすることが許されている場で、思いっきり自己を開放・表現する事が何より楽しいです。自分のライブの演奏を見て、お客さんが感動して泣いたり、演奏後『とても感動したよ!』と言ってくれたりしたことが、とても良い思い出になります」

会社員であれば、自分の業務を遂行するだけでなく、会社行事への参加や会社全体へ貢献するための働きかけが求められる。フリーランスになりそうした責任から開放されることで、バンドにつぎ込む時間は確保しやすくなった。

仕事と趣味を両立するには、まず当たり前の責任を果たそう。

趣味と仕事を両立させるために、河内氏が実践するいくつかのテクニックがある。

「前提として、担当者としての責任を果たしていることがあります。遅延がなく、障害もない状態だということ。それを踏まえたテクニックとして、まず担当案件の全容を把握すること。案件内容やチーム人員、それぞれの役割、全体スケジュールもです。次に自身の時間管理を徹底すること。最後に、ステークホルダーの進捗状況も把握、さらに可能なら作業見積もりも把握することです」

このように徹底的に状況把握を行っている。これによって、急にライブをすることになるなど、突発的な時間の都合をつけたいときでも、プロジェクトの状況にあった提案の仕方で、プロジェクトリーダーに相談ができるようになる。

例えば、「自分が半日休む分の代わりを、自分より2倍のスピードで作業できるAさんに振ってもらえないか」、「自分が半日休む事で遅延する作業のリリースを1日分ずらしてもらえないか?その代わり、翌日半日分多く稼動し、クライアントにとって優先度の高い作業を手伝う」など、できるだけクライアントに負担のかからない提案をすることで、説得しやすくなるのだ。

こうした提案技術は、フリーランスになり時間にシビアになったからこそ身につけられたことだとか。

バンド活動を通じたこの先の目標は、「自分が満足するレベルまで自己実現をやりきること」だという。

IT業界には仕事こそ生きがいだという人が多い。もちろん、それは素晴らしいこと。しかし、それが全てではない。

「私は、自分が納得した生活がしたいんです。これまで私は『“仕事”を通じた納得した人生、納得した生活』というものを築くことができませんでした。
その中で、ひたすら職を変えたり、もがいて来た先にフリーランスがありました。ここ最近になって、やっと自分が納得するカタチを得ることができたなと実感できています」

どんな働き方にも必要なのは自分の覚悟。

最後に“納得した人生、生活”の形を見つけるための心構えを聞いてみると、とてもシンプルな答えが返ってきた。

「自分に正直であり続ける事です。例えば、仕事を進める上で、不満・不条理・不義理に遭遇したときには、自分の意志・希望を尊重する。納得できない指示をされた時に、「それは違う」と思ったら我慢せずに、意見を伝える。
そして自分で決断したことをやりきること。もし、責任が曖昧なタスクを振られたら、保守的なスタンスを貫き責任回避するか、状況を整理して関係者全員を巻き込んでやりきるか、という選択肢が出ます。
その時に、自分の状況を踏まえ熟考し、どちらが自分が納得できるか、という基準で決断する。そして決断したら、その選択を最後までやり切ります」

河内氏の言葉からは、やりがいが仕事にあろうが、趣味にあろうが、納得した生き方を実践しようと思うなら“覚悟”が必要だということが伺えた。フリーランスなのか、正社員なのか、働き方を考えることは、つまり生き方を考えることに直結している。

価値観や嗜好が多様化し続ける今後は、さらに自分の自己実現の場を幅広く求める、河内氏のような生き方がより広がっていくだろう。


☆寄稿者プロフィール☆

hagy_nはぎー(geechsマガジン編集部)
ITフリーランスと企業をマッチングするサービスや、フリーランス向け福利厚生プログラム「フリノベ」を提供するギークスに所属。ITクリエイターのための気軽な情報収集メディア「geechsマガジン」のエディター・ライターと、ITエンジニア向け無料イベントスペース「21cafe(ニイイチカフェ)」の管理人を兼務。イベントレポート・インタビュー記事を中心に執筆中。女性アイドルが大好きで、特にハロー!プロジェクトに心酔している。

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