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Startup Weekend岡山で学んだ「地方で起業家やエンジニアのコミュニティを作るコツ」とは

2017.08.10 Category:勉強会・イベント Tag: ,

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通勤電車イヤ、親が心配だし地元帰りたい、花粉のないところがいい、波乗りできる場所がいい、自然に囲まれたい、そう願うエンジニアは少なくないと思います。
地方でのスタートアップ事情はどうなっているのか、今回は6/2~4に開催されたStartup Weekend岡山を通じて岡山事情とコミュニティ形成についてお伝えします。
by 新井 秀美

世界150か国以上で開催されている起業家育成イベント

そもそもStartup Weekendは3日間の起業家体験として世界150か国以上で開催されている起業家育成イベントです。

審査員・コーチ・スタッフに至るまでボランティアで構成されており、参加費やスポンサー費は期間中の食事や開催のための経費として使用されます。

日本国内では東京ではほぼ毎月、全国的にも札幌から沖縄まであらゆる地方で開催されています。

一般的なハッカソンと違い、基本的に企業によるAPIの提供やハードの貸し出しなどありません。

デザイナー・エンジニア以外にハスラーと呼ばれるアイデアマンの参加が促されており、成果物としてプロダクトができていることが望ましいのですが、投資家が見て事業性があるかどうかのプレゼンが評価の大きな判断材料となります。

●Startup Weekend岡山day1より

岡山のビズ・クリエイションで開催されたStartup Weekend岡山。自分のアイディアを話す1分プレゼン

人気の高かったアイデアはもう一度プレゼン

プレゼンをもとに仲間を見つけます

チーム編成して1日目終了

みんなスタートアップ起業家コミュニティができることを待ってた!

今回のStartup Weekend岡山(以下SW)は、岡山で先代から引き継ぎ酒屋を営みつつ、Web制作や人材紹介、オリジナルラベル付きワインをお届けする「スナップワイン」を展開しているWebエンジニアの藤田圭一郎さんが「岡山を盛り上げたい!」というきっかけから開催。

結果としては40人の参加者のうち県外からの参加者は4人、年齢は大学生から40代まで女子大生から社会人までさまざまな年代・職業の人が集まった。

SWをやろうと決めたとき、参加者が20人集まるかどうか、本当にスタートアップに興味がある人が岡山県にいるのかが不安だったという藤田さん。本当に人が集まるのかという不安などから、やめたくなることも多々あったと言います。

しかしいざ開催に向けてIT関連の企業に相談に行くと、「誰かがやってくれるのを待っていた!」という声が多数あり、ありがたいことにあちこちの企業からスポンサーの申し出があった(といっても最終的な収支はトントン)。

左から3番目のピンクシャツの男性が藤田圭一郎(@kekke_snow)さん

地方ならではのいいところ

各地方紙をはじめとしたメディアに取り上げてもらいやすいです。たとえば今回の藤田さんはこちらのWeb記事に加えて、紙面にも掲載されました。

また大都市と違い地方都市では行政とも近く問題意識の意見交換なども積極的に交わすことができます。

またこれは私の仕事上での感覚ですが、東京都内の都銀・地銀よりも地方銀行の方が新規のIT事業に対する興味や関心があり協力的です。既存の顧客である企業とのマッチングも地銀経由で行われることがあります。

今後地方で起業家やエンジニアのコミュニティを作るコツ

まずは近県、もしくは東京で似ているようなことをしている人を探すことから始めてほしいです。

全く同じことをしている人はいないかもしれませんが、似ていることをしている人はいろいろと教えてくれますし、イベントページを作るのに文章のチェックもしてくれます。

また作っていく過程を含め、いいねがつかなくても気にせず情報発信をどんどんしてほしいです。SNSのフォロー人数少ないことは問題ではありません。

実際藤田さんもFacebookは700人弱、Twitter400人ほどでしたが、何度もいろいろな媒体で発信することで地方紙に写真付きで掲載してもらうことになりました。

加えて近隣の大学の起業研究会を探すことをお勧めします。藤田さんは岡山大学の岡山ベンチャー研究会(OUVL)を見つけて声をかけに行きました。

さらにエンジニアのいる工学部のみならず経営学部にも声をかけると教授も協力してくれたそうです。

メンバーに学生を入れたことで次回以降、岡山大学の学生が中心となってSWを開催したいというお話が出ているそうです。

また活動の拠点として使っていいというコワーキングオフィスが名乗り出たりと、着々とコミュニティが形成されて行っていると感じます。

また今回のStartup Weekendをきっかけに継続しているプロジェクトもあり、時間の経過とともに少しずつ開催の成果が見えてきています。

●Startup Weekend岡山day2より

朝からチームでアイディアをブラッシュアップ

2日目午後からはビジネスにたけたコーチがアドバイスに来てくれます

Startup Weekendでは食事が用意されます

岡山の起業家支援、既存企業にお願いしたい続けるための環境づくり支援

岡山では起業家を育成するために岡山イノベーションプロジェクト(OIP)が今年度から始まりました。

上記OIPには、岡山イノベーションスクール(OIS)という起業家育成スクールと岡山イノベーションコンテスト(OIC)とがあります。

岡山出身の起業家、株式会社ストライプインターナショナルの石川康晴代表取締役(アパレルのearth music&ecologyなど)や、カモ井加工紙株式会社の鴨井尚志代表取締役社長(マスキングテープのmtなど)も登壇するOISには100名ほどの応募があり、現在高校生から50代の起業家まで約40名ほどが現在も通っているとのこと。

またOICは先日締め切りになりましたが、Startup Weekend岡山に参加した人たちも各々の企画で応募していました。

東京で開催されるStartup Weekendよりも自然や生き物とともにある一次産業に関する課題意識が多く、テクノロジーで解決できる部分が多々あり継続的なやりがいがあります。

まだ探り探りの部分も多いと思いますが、融資のかなめである中国銀行さんと情報発信のかなめである山陽新聞さんとがタッグを組んで行政とともに新しい事業を起こそうとしている波が起こっています。

従来、起業のための施策と言えば小売りや建築など地場産業が中心となったセミナーや講習で、県や国を超えた事業の創出、ITということはあまり考えられていませんでした。

実際、私が地方の地銀・信金さんにミラサポという制度を使って支援に行くにあたってお話ししていたところ、とある信金さんに「東京の方って感じですね」と言われたことがあります。

多額のスポンサー費用ではなく、お休みの日に会議室を起業準備段階にいるチームやエンジニア向けの勉強会に無償で貸し出すところからでもとても助かる方々がいます。自社のブログなどに条件など記載してオープンにしていただけると助かります。

●Startup Weekend岡山day3より

夕方から審査員の方に来ていただいてプレゼン

プレゼンの模様

プレゼンの模様

審査員によって優勝チームが決定

全員で写真を撮って終了

国も後押しする地方産業

今年4月安倍首相はボストン・コンサルティング・グループ年次経営総会に出席し、1000人以上の幹部の前で日本の地方都市の魅力についてアピールしました。

よい人的物的資源を求めて外国法人が東京以外に日本法人を作ることが珍しくなくなっていく過程にあります。

すでに福岡県は海外から多数のスタートアップ企業の受け入れをしており、外国人の創業ビザ申請も増えていると聞いています。

まとめ

1. 規模が小さく年に1回でもいいので無理せず継続すること、声を上げれば誰かいる

一歩間違えると勘違いしたコンサルタントの事業セミナーのようですが、たとえ少人数の参加者しかいなかったとしても開催した実績はどこかにアウトプットしておきましょう。藁をつかむ思いで仲間を探している人がいるかもしれません。

2. 地方ならではの資産を生かすのは住んでいる住民に優位性がある

東京からやってきて住んでいる人が気づかない魅力を探す、というコンサルは継続して我が子のようにプロジェクトを進めてくれるわけではありません。

コンサルが気づきを与えることはとても重要ですが、実際に住んでいる人の方がフットワーク軽く事業の種をつないでいくことができます。

エンジニアならリモートワークを勝ち取れば何とでも、思い切って引っ越してみましょう。

3. 餌(一方的な講義)ではなく、釣り方(ワークショップ)を

既存の起業家育成というとどうしても決算書の読み方や営業方法などの座学が多かった。

しかし、「普段なかなか周りの人に話しを共感してもらえない自分」という前提で来ている参加者が必ずいるので、一方的に講師が話をするだけだと次につながりません。

コミュニティ形成という点からも来場者同士で話す機会をとり、時間の許す限りワークショップなど交流したり、発言のない方には軽く促したり話しかける心配りがあればコミュニティは継続すると考えます。

私があちこちにお伺いしているときは東京から一方的に情報提供しに行くのではなく、お話ししたことを実践し周りの人に教えることができるようになっていただいて初めてお役に立てるのかなと思っております。

スタートアップを始めるにもコミュニティ形成はとても大事な要素であると認識しています。

エンジニアとしてのキャリア形成において、まずはご自身が得意とする言語のもくもく会を地方で始めてみませんか?

なおStartup Weekend岡山で優勝したチームの事業は「観光客と漁師のマッチング」でした。

Startup Weekend岡山の優勝チーム

(写真提供:北村直樹@tokisaba

●私が講演しに行ったプレイベント

新井 秀美
行政書士をしながら、クリエーターのためのポートフォリオ作成サイトCOLET(コレット)開発中。StartupWeekendにてフェチ東京を作った優勝経験からハッカソン参加経験もあり。ちょっと変わった事業相談が大好き。
六本木の政策研究大学院大学にて行っている知的財産マネジメント研究会(Smips)の「エンタメと知財分科会」共同オーガナイザー。
Twitter:@parrotJPN
COLET(ベータ版)

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