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夢の新技術、クルマの自動運転─トヨタに異業界転職したソフトウェアエンジニアが開発の魅力を語る_[PR]

2017.09.20 Category:コード転職ライブラリ Tag: , , , , ,

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自動運転の実用化に向け、ソフトウェアの研究開発体制を強化するトヨタ自動車。
Web企業から同社の自動運転の研究開発に異業界転職したエンジニアに、転職を決意した背景、仕事の魅力や楽しさを聞いた。
by 馬場美由紀 (CodeIQ中の人)

自動運転はクルマの「アポロ計画」

「ドライバーの操作なしにクルマを走らせることができる自動運転技術の開発は、いわばアポロ計画のようなものと感じます。そういう壮大なプロジェクトに関わってみたいという思いから、トヨタ自動車に転職しました」

世界遺産でもある名峰、富士山が見下ろす静岡・裾野市にあるトヨタ自動車の先端技術開発拠点、東富士研究所で、自動運転の中核技術であるソフトウェアの研究開発に携わる五十嵐 諒さんは語る。

トヨタ自動車株式会社 先進安全先行開発部・第一先行開発室 五十嵐 諒さん

ゴットリープ・ダイムラーとカール・ベンツによって発明されてから131年目の今日、自動車開発の世界ではまさに100年に一度と言われる大変革が起こっている。

変革の三大テーマは自動車を内燃機関ではなく電気で走らせる「電動化」、これまでスタンドアロンであった自動車をネットワークに接続してスマートデバイス化する「コネクティビティ」、そして人間が運転せずとも乗る人の思い通りに、あるいは社会の要請に従って走ることができる「自動運転」である。

自動運転はその3つの中で、最もドラマチックな革命を巻き起こす技術と言われている。自動車はもともと馬車から進化したものだが、クルマを走らせる動力が馬から機械になっただけで、御者=ドライバーは依然として必要だった。

今度はその御者を人工知能に置き換えようというのである。自動車業界では「今まで作ってきたのは、いわば半自動車。これができて初めてホンモノの自動車になる」という声が聞かれる。クルマづくりにおいて、自動運転とはまさしく、長年の夢を実現させるテクノロジーなのだ。

だが、その実用化は困難を極める。昨今、「〇〇年に完全自動運転を実現する」というプランを世界の自動車メーカーが続々と打ち出している。

また、ディープラーニングに代表される人工知能の急速な進化も進んでいる、すでに自動運転の実用化のおおまかなロードマップは見えているものというイメージを持たれている。

現実は違う。自律走行可能なクルマを社会と融和させるために、どのような技術を生み出し、それらをクルマにどうパッケージするべきなのか、またそのクルマをどのように走らせれば人間社会に調和するかといった方向性すら決まっていない。

安全や環境に関する基準を満たしさえすれば道路を走ることができたこれまでのクルマづくりとは、困難さのレベルが違うのである。

五十嵐さんが自動運転を1960年代、当時の技術力を完全に超越することが求められた有人月着陸プロジェクト「アポロ計画」になぞらえるのは、そういう意味だ。

機械→原子力→Webサービス→自動運転

トヨタに入社したのは半年前だが、すでに自動運転のためのソフトウェア作りで重要な役割を担っている。

「今、私が担当しているのは、高速道路限定ではなく、一般道を含めた公道で走らせることができる自動運転車の先行開発です。自動運転にはいろいろな方法がありますが、われわれが目指しているのは道路からの誘導管制なしに、単独で自律走行が可能な自動運転車。

それを安全に走らせるためにはクルマがまず各種センサーで環境を正しく認識し、どう走らせるかというプランニングを適切に行えるようにならなければいけません。一般道は高速道路に比べるとスピードは遅いですが、信号がある、歩行者が飛び出してくるなど、環境の複雑性は格段に上。それをクリアするための技術開発に取り組んでいます」

今の仕事の概要をこう語る五十嵐さん。まるで10年もクルマを作ってきたかのような知見だが、実は転職するまでは、自動車産業との接点はほとんどなかったという。

高校を卒業後、日本の大学ではなくアメリカの大学に進学。そこでまず、機械工学を学んだ。

「親は普通の公務員で、帰国子女というわけではありません。高校時代からアメリカに行ってみたいと思っていたんです。実は当時からクルマが好きで、大学では自動車部に所属して、チームでレーシングカーを自作して大学対抗のコンテストで走らせたりしていました。また、自動車の仕組みを独学で学び、愛車の修理・メンテナンスを自分で行ったりしていました。

卒業後も自動車開発をやってみたいという気はあって、アメリカで就職活動をしたのですが、機械工学はナショナルセキュリティに引っかかることが多くて難しいことがわかったんです」

その後、帰国して大学院に進学。そこで学んだのは機械ではなく原子力工学。エネルギー危機が叫ばれる中、原子力ルネサンスという言葉が生まれていたように、核エネルギーへの期待感が世界的に広がっていた時代。日本のエネルギー自給に貢献したいという夢を描き、核燃料サイクルの研究を行った。

「ところが、東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の事故で、核エネルギーが多くの人に喜んでもらえるものではなくなってしまった。やはり作るなら喜んでもらえるものを作りたいと思い、大手Web企業に就職したのです」

大学で情報系の勉強をしたわけではなく、趣味でプログラミングをしたり、大学の研究室のホームページを改善したりといった程度の経験であったが、大手Web企業では、検索エンジンの構築や、Eコマースの推薦システム、ビッグデータ解析に従事した。

それがある程度カタチになってきたところで、上司から「そろそろ新しいことをやってみないか」と言われた。

あらゆる分野のノウハウが求められている

社内で新規事業の立ち上げをやるか、それともまったく別の分野に挑戦するか迷った。そんなとき、登録していた人材情報会社のヘッドハンターから、「トヨタ自動車があなたに興味を持っている」と連絡を受けた。

「コンサルティング、ビッグデータ関連、ベンチャー企業で企業経営にかかわりながら新規事業を行うなどの案件でも話をもらっていましたが、トヨタ自動車からの話は自動運転技術の開発をやってもらいたいというものでした。

入社前に文科省が出している特許に関するレポートを見てみたのですが、それによるとトヨタ自動車とグループ企業であるデンソーの自動運転に関する特許のシェアは全体の約50パーセントにも達しているとのこと。

難しさや先進性、社会への影響力、そして何より交通事故ゼロを目指せるなど、アポロ計画に匹敵する壮大なプロジェクト。自分はクルマが好きだし、自動運転の開発を手がける場としても申し分ない。これを機に、そのプロジェクトに参加してみたいと思ったんです」

しかし、五十嵐さんのクルマづくりの経験と言えば、アメリカの大学在籍時に自動車部でレーシングカーを自作した程度。不安はなかったのか。

「自動車メーカーと聞くと、まず第一にイメージしたのは生産ラインが浮かびました。そこでは、統制のとれた作業員が寡黙にテキパキと作業をするイメージでした。研究開発の雰囲気もやや険しいのか?と少し不安でした。しかし、実際に入社をしてみると役職に関係なく自由闊達に自分の意見を言える風土であり、また、笑顔のあふれる職場でした」

入社間もない頃からトヨタ自動車の開発環境をより良いものにするための提案を、五十嵐さんのほうから行うことも少なくなかったという。

「トヨタ自動車の車両開発環境は大変充実したものでしたが、機械系が中心で、ソフトウェア開発者が直感的に自分のイメージをカタチにできるシステムではありませんでした。

IT屋から見たら、もっと効率的にソフトウェアのチーム開発を行う方法があると思い、いろいろ提案をしました。セキュリティの問題等のハードルが多々ありましたが、いいものはどんどん採用してもらえ、業務効率の向上をもたらすことができた。今思うと、そういうクルマ以外の分野ならではの知見を期待されていたという部分もあったのでしょう」

何でも作れる、試せる、提案できる

所属している先進安全先行開発部・第一先行開発室は、一般道を走行できる自動運転システムの先行開発、課題解決に日々取り組む。

冒頭でも述べたように、自動運転は馬車における御者の役割を、人間に代わってクルマが引き受けていくということ。そのためには視覚、聴覚、触覚など人間の持っている感覚をクルマが持ち、その情報をもとに外界やクルマの状況を的確に判断し、最適な運転操作を行えるようになる必要がある。

「毎日のように走行試験を行っています。そのたびに新たな課題が出てくるので、その分析を行い、解決のためのロジックを開発し、それを実装したクルマでまた走行評価を行っています」

その言葉だけを聞くと単純な日常のようにも思えるが、そうではない。自動車というものは、ただ人や荷物を載せて動けばいい商品になるわけではないからだ。

五十嵐さんが入社後の思い出として挙げるのは“役員デモ”というイベント。トヨタ自動車の経営陣を自動運転の試作車に乗せ、評価してもらうのだ。なかにはエンジニアとして鳴らしたクルマづくりのプロもいる。

「そのイベントに向けてクルマを徹底して作り込むのですが、それでも“乗り心地が悪い”、“人間の感覚と違う”などの厳しい評価をもらいます。そこで、自動運転車はただ安全に走らせればいいというものではないんだと、あらためて痛感しました」

まだまだ先の長い完全自動運転の実現を見据えた技術開発と、乗る人に快適だ、楽しいと感じてもらうための感性チューニング。それを実現させるため、ひたすらトライアンドエラーを繰り返す。

「その点、東富士研究所はとても恵まれているんです。デスクワークの場とテストコースが隣接していますからね。クルマを動かすソフトウェアのコーディングが終わると、それをクルマに実装してさっそくテストコースで試せる。カタチにしやすいから提案もしやすい。ここで仕事をしていて楽しいと思えるポイントのひとつです」

誰もがきっと夢中になれる。たとえクルマに興味がない人でも

クルマの最先端技術であり、世界から注目を浴びている自動運転。最先端であるがゆえに難しいことも多く、また競争も厳しいが、エンジニアであれば誰もが夢中になれるであろう分野だと五十嵐さんは言う。

「先行開発で日々、いろいろなことを試すのは、子供が遊ぶミニ四駆に似たわくわく感があります。いろいろ部品を交換して、すぐに走らせて何がどう変わるのかを観察するのって、楽しいですよね。そのエキサイティングな感覚を日々の仕事で味わうという感じですよ」

求められる技術の幅が広いのも魅力だ。情報通信、画像認識を含むセンシング、ロボット工学など、最先端技術がクロスオーバーする分野ゆえ、それらに関連するすべてのスキルが自動運転技術の開発に必要とされているのだ。

「クルマのことを知らないというのはハンディにはなりません。私の場合は前の職場がWeb企業でしたから、ソフトウェア開発がもっぱらのスキル。自動運転で必要なロボット工学については入社してから勉強すればいいかなと思っていました。

果たして、センサーとソフトウェアの連係など勉強することはありましたが、一度コンピュータに情報が入ってしまえば処理は同じようにできるので、スキルを上乗せしていけばいいという感じでしたね」

では、具体的に自動運転技術の開発に関わるにはどのようなスキルが必要なのか。

「ソフトウェア開発環境はLinuxOSなので、Linux OSに精通していると役立ちます。また、自動運転ソフトウェアは、高速に演算処理を行う必要があるのでアルゴリズムやマルチスレッドプログラミングの知識があるといいです」

それ以外の専門的スキルについてはどうか。五十嵐さんは、それについてはヘッドハンターやトヨタ自動車が見てくれるので、心配はないという。

「自分の場合は前職の検索エンジン部門にいたときにサーバーの調達、構築、システム運用までやっていたので、ネットワークの知識がありました。
センサーとパソコンをつなぐときには必ずネットワークを介するので、そのスキルを買われたのだと思いますが、非自動車分野のスキルがどう役立つかということはヘッドハンターの方々が見立ててくれるので、心配する必要は特にないと思います」

自動運転技術の開発のステージとしてトヨタ自動車を選んだ五十嵐さん。最後にトヨタ自動車の印象はどうか聞いた。

「まず、自動運転に関する開発予算がおそらく世界で一番多いだろうというのが魅力。また、世界トップクラスの企業であるからか、センサー、カメラ、コンピューティングなどいろいろな分野について、最新の情報が日々入ってきます。良さそうなこと、トライしてみたいことなどのアイデアをどんどんやることができます。

その最先端に常に触れられることは、エンジニア冥利に尽きます。ぜひいろいろな人に、この開発の楽しさを知ってほしいと思います」

(執筆:井元 康一郎)

※本企画はトヨタ自動車株式会社の提供でお送りしました。

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