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「業務運用」をハズしちゃダメ!『運用☆ちゃん』Incident 006

2018.03.20 Category:【連載】運用☆ちゃん Tag: , ,

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運用設計はシステム安定運用の命!設計する対象は大きく「システム運用」「業務運用」「ヘルプデスク(サービスデスク)」「運用統制」の4つあるらしい。
……って、『業務運用』って何ですか?
─遥子の頭の中に、またまたはてな警告が灯る。
by 沢渡あまね / 湊川あい

「業務運用」とはこのようなお仕事です



【ダイアローグシーン 】


運用業務は、システム運用(前回勉強したわよね)だけでは不十分。
顧客やユーザが、情報システムを使って価値ある業務を回し続けるためには「業務運用」が絶対に必要なの!


「業務運用」ってコトバ、私も今知りました…。


そうそう、これまたシステム運用以上に体系化されていない!
だから、忘れられがち、見落とされがちなのよね。
でもって、リリース間際や本番運用開始してから皆あたふたする…。(ピングぅ~)


ひええ!それ、絶対なんとかしたいです!


主な業務運用項目を12個挙げておくわ。(リリッす!)

  1. 運用スケジュール管理
  2. データ/マスタメンテナンス
  3. ユーザ情報管理/権限管理
  4. 構成管理/文書管理
  5. インシデント対応/問題対応
  6. ジョブメンテナンス
  7. リリース対応
  8. 調達業務/課金請求
  9. イベント対応
  10. 訓練/トレーニング
  11. コミュニケーション管理
  12. サービス報告


ひええっ!さらっとたくさんあるのね。


そうよ。これ取りこぼすって、相当ヤバいって分かるでしょ。
では、1つずつ見ていくわよ。


1. 運用スケジュール管理



運用スケジュールね。
毎朝「今日の作業は何だっけ」って確認してから、お仕事進めているわ。


そうそう、それそれ。で、そのためにはあらかじめ誰かが運用項目を決めて、
スケジュールを決めておかなければよね。神様や妖精が決めてくれるわけじゃない。


確かに!

  • 運用作業項目を決める
  • 実施スケジュール(年間/月間/週単位/日単位)を決める
  • 実施担当者を決める
  • 運用作業項目や実施スケジュールの改廃をする

こういったことを、運用管理者が中心となってやらないとね。


ふむふむ(メモメモ)。


アウトプットは、運用項目一覧、運用スケジュール表、実施チェックリストなどが挙げられるかしらね。


2.データ/マスタメンテナンス



たとえば運用している対象が経理システムなら、顧客やユーザ(経理部など)の要望を受けて「12月決算の取引先一覧」をデータ抽出してリストで提供したり、取引先マスタや部門マスタを更新したり、取引先の名称を変更したり。


データにパッチ当てたり?


そうそう。これって業務運用タスク。システムを作ってはいおしまいだと、必ずどこかであたふたする!


マスタデータの変更、想定してません!みたいな。ひええ……。


3.ユーザ情報管理/権限管理



あ、これ私やってるかもです。
退職したユーザの権限削除したりしているのって、それかしら?


そう!ユーザのアカウントを発行したり、情報変更したり、グループアカウント作ったり、権限付与/剥奪したり。一般ユーザの管理だけじゃないわ。

特権IDといって、管理者権限などのシステムを、維持運用するための特殊権限の運用管理も大事なオシゴト。

特権ID管理は、運用統制が行う場合もあります。


Root権限とか、Admin権限とか、ヘルプデスク権限とか聞いたことあるわ!管理のルールや手順を決めておかないとヤバいことになりそう…


4.構成管理/文書管理



ひとえに構成といってもさまざまね。ユーザの端末の機器情報だったり、OSやブラウザのバージョンだったり、IPアドレスだったり。ソフトウェアライセンスの管理なんかも大事。誰がどのライセンス使っていて、更新期限はいつだとか。


確かに、それきちんと把握できていないと、新しいサービスをリリースした後とかユーザの問い合わせ対応や、トラブル対応できない。

ヘルプデスクさんが泣いちゃうパターンね!


そして文書管理。運用ドキュメントや作業手順書、作業申請書など。ただ作っただけではダメで、新規運用の追加/既存運用の変更や廃止にともなってアップデートしないとね。


業務は生き物。だから、きちんと管理して運用しないとですね!


5.インシデント対応/問題対応



通常の業務を邪魔する何かを「インシデント」って言うわ。


トラブルとか、クレームとか、問い合わせとか?


そうそう。そして、インシデントに対してとりあえずナントカしてその場をしのぐ暫定対応のことをインシデント対応っていう。


ふむふむ。


これに対して、インシデントを二度と発生させないための恒久対応を問題対応って言うわ。


目先と未来。どっちも大事ね!


ITIL(R)が、インシデント対応と運用対応のモデルフローを説明しているから参考にするといいわ。

ITIL(R)については
新人ガール ITIL使って業務プロセス改善します!
シーアンドアール研究所刊
も参考にしてみてください。


6.ジョブメンテナンス



日次の夜間バッチ処理とか、オンラインのバッチ処理とか、顧客やユーザの要望や利用動向に応じて変更しなければいけないことってあるよね。ジョブの管理や再設計も大事!


あるある。マスタ取り込みの時間帯を早くできないか!とか言われたことあります。


7.リリース対応



そして、リリース対応!(リリっす!)


あわわ。ちょうど4月頭の年度切り替えのタイミングで、私が見ているシステムも機能追加のリリースがたんまりあるわ。


リリースのためのシステム停止をいつやるか?
顧客やユーザと事前調整してやらないとね。
繁忙のタイミングでリリースしない/させないって、管理も大事なんだけどね。


8.調達業務/課金請求



運用に必要な機器やライセンスを発注したり、顧客に運用にかかった費用を請求したり、そのための専用帳票を購入したり。
運用業務を回すため、あるいは顧客のITサービスを回すための業務も見落としちゃダメよ。


9.イベント対応



会社で仮装イベントとかちょっと興味ある……。


アパーッチ! そのイベントじゃないっ!

業務イベント、システムイベントのこと。リリース対応もそうだけれど、ほかにも組織変更対応(統廃合)、年度末対応、オフィスのレイアウト変更対応、このようなイベントを事前に察知して、必要な作業項目を定義し、実施する。

ヘルプデスクなど、ユーザフロントに立つ人たちとの連携も重要よ。


ご、ごめんなさい!
イベントって聞いて、勝手にワクワクしちゃいました。


……でも、あたしの衣装なら貸してあげてもよくってよ。


10.訓練/トレーニング



訓練って、避難訓練ですか!?(わりと嫌いじゃない)


実はそれもある! 
災害やセキュリティインシデント発生などを想定した、運用者への訓練を計画して実施したり。

どんなに立派な手順書を作っても、バックアップ環境立てておいても、訓練しておかないと、いざって時に対応できない。


言われてみればそうね!


事前に日を決めて、運用スケジュールにプロットする。確実に訓練が行われるようにしたいわね。もちろん、通常の運用作業の運用メンバーへの教育やトレーニングも大切なオシゴト。


教育は計画的にね!


11.コミュニケーション管理



顧客やユーザへの周知をどうするか? 「中の人」のコミュニケーション手段やルールをどうするか?

こういうコミュニケーション設計と実施もはずせないわ。


たしかに、せっかく新機能をリリースしたのにユーザに知られていないとか、メンテナンスのためのシステム停止を知らなくてユーザに怒られたとか、ヘルプデスクへの連絡手段が分からないとか、その手のトラブル結構あるわ。


運用者同士(「中の人たち」)の連絡手段の整備やアップデートも重要よ。
最近では、SlackやGitHubを使っている現場も出てきているみたい。


12.サービス報告



そして、サービス報告!


サービス残業の実態を報告……


……ではありません!(レビュん!)

前月(前日/前週 etc.)の運用状況や課題を、運用管理責任者や顧客に報告することよ。

サービスの利用状況、運用作業の実施状況、可用性などサービスレベルで決めた内容に対する状況、インシデントの発生状況/対応状況、ヘルプデスクの対応状況、メモリやストレージの使用状況や変化、運用者の勤務時間……などなど。
運用の実態把握と改善につなげるための取り組み!

「運用統制」が実施する場合もあります


それって、めっちゃ大事じゃないですか!?


ある意味、理不尽なサービス残業を発生させないための取り組みとも言えるわね。

次回、システム運用者の腕の見せどころ!な 4月のアレに迫ります!

—第7話(Incident 007)につづく

登場人物紹介

運用☆ちゃん

妖精。ある日、遥子のもとにやってきた。システム運用業務の認知の低さ、運用者のモチベーションの低さを嘆き、空から舞い降りた。彼女の使命は、運用のプレゼンス向上、価値向上、そして運用者の誇りの醸成。好きな言葉は「ありがとう」。好物は、かき氷ブルーハワイ(嫌なことがあるとやけ食いする)。
見た目も言動も幼い感じだが、実は65535歳らしい。

海野 遥子(うんの ようこ)23歳

大手製造業 日景(ひかげ)エレクトロニクスの情報システム子会社に勤める2年目社員で、認証基盤システムの運用担当。クラスの端っこで目立たないような女子。今日もサーバルームで、システム監視したりパッチ当てたりと目立たぬ日々を送る。好物はいわた茶。

※この漫画はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

マンガ:湊川あい(みなとがわ あい)
フリーランスのWebデザイナー・マンガ家・イラストレーター。マンガと図解で、技術をわかりやすく伝えることが好き。CodeIQ MAGAZINEにて マンガでわかるGitわかばちゃんが行くオフィス訪問マンガ運用☆ちゃん 連載中。
著書 わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本わかばちゃんと学ぶ Git使い方入門 発売中。
Twitter: @llminatoll

シナリオ:沢渡 あまね(さわたり あまね)
1975年生まれ。IT運用エバンジェリスト。業務改善・オフィスコミュニケーション改善士。元認証基盤の運用SE、ITサービスマネージャ。日産自動車、NTTデータなどを経て、2014年秋よりフリーランスで活動。IT屋時代のデスマ経験とそこで培った、ITサービスマネジメント/プロジェクトマネジメントのノウハウを応用した、企業の働き方改革・業務プロセス改善・インターナルコミュニケーション改善の講演・コンサルティング・執筆活動を行っている。
主な著書:『新人ガール ITIL使って業務プロセス改善します!』『新米主任 ITIL使ってチーム改善します!』(C&R研究所)、『職場の問題かるた』『職場の問題地図』『仕事の問題地図』(技術評論社)、『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)
Webサイト「あまねキャリア工房」 / Twitter / Facebook

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